CRMと騒がれながらも、店舗系(BtoC)、通販系、ネット系ビジネスでのCRMとは、昔からあったデータベースマーケティングそのものであった。顧客データベースでさまざまに絞込み、抽出してでてきた顧客にDMを発送する。電話をかけるというものである。
デパート業に例えて話を進めてみよう。
デパートは、普通は階層を作って顧客管理をしている。
得意先と呼ばれる顔も見える上位顧客に対しては、抜かりなく対応ができているが、問題は顔が見えない多数のカード会員顧客である。
この人たちの中から優良顧客をいかに探し出し、LTVを実現していくのかという課題と、もう一つは全体の底上げをいかにCRMで図っていくが課題である。
多くは昔からのRFM分析を使っている。ご承知のとおりRFM分析は1930年代に通信販売用の雑誌を送らない顧客を発見するためにアメリカで考案された手法であるのだが、どういうわけか今でも息を永らえている古典的な分析手法である。
RFM分析は「タイムスライス」といって、一定期間に置ける顧客のR・F・M位置を明確にする分析手法だから、ここで優良顧客といっても、単にいつからいつまでの間のデータではR・F・Mの定位置にいるだけのことで、顧客を特定することにはまったく繋がらないのだ。
RFM分析をかたくなに信じている人たちは、R・F・Mを5段階合計125のセルに分けて5・5・5がもっとも優良顧客であると判断をしているが、あくまでも一定期間のデータを過去データとして扱っているのだからから、正確な姿を反映しているとは限らない。
過去にたくさん買っていただいた顧客に御礼を言うための分析なら理解できる。しかし過去データを集計しても出される分析は結果論だ。結果論で未来を予測することはできないのである。
ABC分析で上位20%の顧客で、売上げの70%~80%の間を占めていることは周知の事実だが、これまでの経験則では上位20%に属する顧客のうち、約40%が毎年入れ替わっている。
だから、毎年40%も入れ替わるセルに入っている人たちを優良顧客として扱っているのだけれど、もっと分かりやすく言うと、一定期間内で直近に購入して頻度が多くて購入金額が多ければ誰でも優良顧客になるが、その人が別の期間で商品を買わなければ優良顧客から外れることになる。
だから連続して顧客を育成するような仕組みにはなっていない。相当の無駄を覚悟でRFM分析を信じてやっているというのがBtoCビジネスでのCRMの実態なのである。
販売員もRFM分析の何がどうかもわかりようもなく、上司もR・F・Mのそれぞれ5・5・5にDMを出しましたと報告を聞けば、文句のつけようもなくそれで一件落着というところがBtoCのCRMを使う現場の実態なのだ。
先号で書いたけれども、そうしたCRMをやっているから顧客が育成されないわけで、RFM分析が始まった通信販売業の長い歴史と共に、デパートのRFM分析を信じている集団は、どんどんと前のめりになって何も見えなくなっているというのが現実なのである。
一方、私のメソッドは、はじめに顧客育成モデルを作成する。どのような育成をするのかモデルを構築する。そして次に育成するべき顧客を特定していくのである。
特定するというのは初めに囲いを作ってあらかじめ囲いにいる顧客だけを育成するということではない。囲いに入る水路を作って条件が合えば次々と囲い内の顧客は増える。また囲いの中に入っていても、一定の条件に会わなければ水路からでていただくということである。したがって顧客特定をするとは、育成するべき顧客条件を定義するということになる。
育成をすると特定をしたら、定めた期間は関係をとり続ける。関係深化と商品販売のリレーションシップをだ。
さて、そこで顧客育成とは何かだが、関係を深めてアップセル、クロスセルを継続する関係にまでなっていただくためのアクションと定義をする。
そして育成をするために広大・精緻・複雑なシナリオを書いていくことになる。
ここが大切なところである。これまでのRFM分析では、顧客を育成するための広大・精緻・複雑なシナリオを書くことはない。次のフェスタのためにDMを出すのだけれど誰に出すかという程度である。
私は育成シナリオを書いてシナリオシステムに登載する。プログラム言語で登載するのではないために誰でもできる。
するとシステムがすべてアクションを自動生成し、ToDoLISTにアクションを指示してしまうのである。
コメント