【2008.12.05配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
自動車の国内販売台数が320万台だろうと予測数字が新聞紙上で出ています。これは実は大変なことなのです。これまで8年で買い換えていた顧客が9~10年になろうとするからです。
購入後7年から8年に買い替えが延びた時に、パイは12.6%縮小になります。これはメーカーにとっては痛手です。メーカーだけでなく中古車市場にとっても痛手になります。それだけ玉(商品)の質が落ちるわけですから。
昔はメーカーもノンビリしていました。「それは市場が決めること.中古市場とのバランスもありますからメーカーはさほど気にしていません」と、買い替え頻度が下がっていたことをこう評論していたのです。
今回は世界的な不況ですから、[日本がダメならアメリカがあるさ]では通用しなくなりました。アメリカもヨーロッパもダメなら日本をどうすればよいのか、日本を何とかする手立てはありません。それは顧客戦略を経営要素として組み込んでいなかった結果です。
ところで、面白いデータがあります。
私が親しくお付き合いをしている顧客ケアを徹底的に行なっている自動車の販売拠点では、販売台数は前年対比でほぼ横ばいで、落ちていないのです。ただしダウンサイジングはあります。
顧客はいままでと同じペースで買い換えているけれど今までより小型車に乗り換えているわけです。自動車販売業はいくらの金額を売ったかではなく、何台販売したかで評価している業界ですから販売拠点としては金額では落ちていても、台数で目標を達成しているとなると、それで評価されるわけです。
ただし、支店長は、「顧客を待っていてはダメですね。昔のようにこちらから訪問するなどして積極的に攻勢をかけなければいけません。顧客をケアできてこちらから提案をすれば台数が落ちることはないと思います」と断言しています。
一方、古い販売スタイルをとっている別の会社の営業拠点では落ち込みが厳しいです。40%近い落ち込みをしているのです。経営者は青色吐息です。
ここの営業担当者に聞くと、「うちの営業部長は売ったばかりの既存客を訪問すると油を売っていると言って怒るのです。だから私なんかまともに交流できる顧客は10名といないです。
売りっぱなしの状態ですね.既存顧客をやりっぱなしでもう電話も出来ない状態です」と言っています。こういう会社が顧客を失っているのです。
つまり、案件が出てからクローズするまでを追いかけていたけれど、これからは案件を創生することと、販売後のケアが重要だと言うことです。
国内販売台数が年間320万台ですと、危惧としては次は200万台になってしまうのではないかという心配です。こうなると国内の自動車ディラーは経営が立ち行かなくなります。
顧客戦略をとっている企業は、顧客に声をかけて顧客に提案をすることが出来ます。これこそが需要の開拓ではないでしょうか。
人、物、金のテンプレートしか持たない企業は、人、物、金しか触れないわけで、人、物.金はコストですから結局はコスト削減に走ります。これ以上コストを絞ったら何処に行ってしまうのでしょうか。新製品開発能力はなくなり、優秀な人材は減り、いわゆる負のスパイラルに突入していくわけです。
顧客戦略をテンプレートに持っていると顧客に対して手を打てるわけです。
顧客戦略を経営要素に加えないと経営が成り立たない時代がすぐそこにきているように思っていますが皆様の企業はいかがでしょうか。
コメント