【2009.05.01配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
「成熟・少子・超高齢社会」国内をマーケットにする企業にとってこの三重奏は、長期的には生死を賭けた三重奏になります。
「成熟・少子・超高齢社会」は、今後50年間、実はそれ以上の期間、デフレスパイラル社会を構築することになります。デフレスパイラル社会とは、需要量が、らせん階段をスパイラル状に下がっていくように減り続ける社会です。
需要量を超えて供給量を増やすことはできませんから、需要に併せて供給の縮小均衡を保つことになるといえば耳障りはいいですが、10の需要が7になれば企業のうち3は市場から放り出されてしまうという意味です。
2006年を頂点に人口は減り続けていますから、すでに生死を賭けたトリオの演奏は始まっているわけです。
企業は人、物、金の経営三要素経営によるコスト削減経営を徹底的に行うことや効率や生産性を向上させて無駄を無くして濡れ雑巾を絞るような経営を続けていくでしょう。
しかしデフレスパイラル社会にコスト削減経営は通用しません。
その理由は明らかです。企業が生産性を上げてコストを下げる行為と、顧客がこれをくださいという行為とは別なものであるからです。
デフレスパイラル社会で生き残るには顧客から支持されて行く以外に無いのです。
方法は二つあります。一つは価格を下げて顧客の興味を抱かせる方法です。流通業はこの方法を採用して企業間の戦いに入っています。やがて個店ではなくショッピングモール同士、あるいは地域間での顧客争奪戦になっていくでしょう。
FSP(購入頻度が高い顧客を優遇するプログラム)は、ブライアンウルフ氏によって紹介された1998年の日本では採用されませんでしたが、これからはショッピングモール同士の戦いの手段として日本で復活する可能性が高くなります。
価格競争に入ることは併せてコスト削減経営と一体にならなければなりません。消耗戦に入ってはいけないわけですが、日本では消耗戦になってしまっています。
消耗戦とはどちらが先に倒れるかの戦いです。ユニクロやH&M、最近上陸したFOREVER21などは初めから安く作って安く販売する製造直販の仕組みを完成していますから当面の間、当面とは安く作れる国が存在し、彼らのために安い服を供給し続けることができ、かつ安い服を受け入れる人々がいる限りという意味ですが、消耗戦に巻き込まれないで生きていくことはできますが、商品を仕入れて販売する小売業では限度があります。特にテナント業態である百貨店や駅ビルなどではコストが高いですから、安売りと言っても限界があり、コスト削減経営に限界があるのと同じくして、低価格販売にも限界が生じます。
二つは顧客と関係を深めて顧客の価値を発見し、顧客の価値を実現することが自社の価値の実現に通じる顧客政策を構築することです。
企業は顧客に対して経営要素を持ち備えていません。高度経済成長時代から人、物、金の経営三要素で経営を行い、経営に顧客要素を持っていなかったのですから仕方がないのですが、これからはそうは行かないと思います。
これからは自社だけでなく、利害が共通するパートナを増やして双方の価値を実現することで企業総合力を強めていかなければなりませんし、顧客との関係深化を通じて顧客と企業が共通する価値を実現することを政策として行動していかなければなりません。
残る施策は「新たな発想での組織化」と「行動基準に落とした顧客政策」なのです。
人、物、金の経営三要素に頼っていただけではデフレスパイラル社会に生き残っていくことはできません。
カスタマープリンシプル協議会のホームページを5月1日からアップいたします。
アドレスは http://www.cpajp.org/ 「cpajp.org」です。
正式設立年月日は6月1日ですが5月1日から会員募集を行います。
カスタマープリンシプル協議会は顧客政策の理論化活動と、普及活動を中心軸に据えて、日本企業に新風を巻き起こします。
コメント