【2009.08.21配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
選挙がはじまり序盤戦の様子がメディアに報道されていますが民主党に投票する人たちが圧倒的に多くその結果、民主党一党で単独過半数を取る勢いであるようです。
明治維新のエネルギーは列強国に打ち克つ強い国家を作ろう。そのためには徳川幕府を倒して天皇を中心とした国家を作ろうとする尊皇攘夷思想でした。
革命を辞書で引きますと『被支配階級が支配階級を倒して国家権力を奪い取り政治経済などの社会的構造を根本的に変革すること』(明鏡国語辞典)とありますから明治維新は革命です。
「尊皇攘夷」はたわごとであることに明治政府は気づきました。外国を追い払おうなどということは極めて非現実的なスローガンと分かったのです。列強国は弱い国々を次々と植民地にしていきました。インド、東南アジア各国、南方の島々、中国、朝鮮、アフリカ、中南米などはその犠牲になったわけです。今では考えられないことですが弱い国を自分の国の植民地にすることは許されていた次代でした。
そこで明治政府は「富国強兵」政策をとって官僚主導の下に日本は国を強くし、兵力を強くして列強に対抗する国へと驀進していきました。
官僚はこうして明治時代からいままで日本をリードして行ったわけです。
日本の官僚は高潔で国家を憂い、国家のために命さえも捧げるような人たちでした。このような官僚がいたからこそ、国家は敗戦をしてもGDP第二位の経済大国に帰り咲いたと思います。今、官僚はすべて悪いとなっていますが高潔であった官僚に利権を教えたのは政治家です。例えば田中角栄が日本列島大改造論を打ち立て、有料高速道路を作り、収入で再投資を行う構造が定着するとここに族議員が生まれ政治・官僚・財界の利権構造が生まれました。このことは郵政でも、中央集権でも同じ構造です。
最大の変化は時代背景です。世界に冠たる成熟国家である日本は、明治から始まった官僚が日本をリードする時代は終了していたのです。今回、政権交代が実現するとなれば官僚が主導する古い政治パラダイムに対する国民の反発がもたらしたものといえましょう。
明治維新は血を流しました。戊辰戦争で大きな犠牲が出ました。しかし徳川幕府が抗戦しなかったために無血開城が実現したわけです。
今回も政権交代すれば革命だといわれています。しかも無血革命です。ここに日本人の叡智を感じ取ることができます。
小泉改革は日本がこのように変わるための重要な役割であったと思っています。小泉改革は負の側面として格差をつくり、新自由主義、市場原理主義は結果として弱者を切り捨て、散々な国に変えてしまいました。今は労働者の3分の1が非正規雇用労働者です。敗者復活はできず日本は先進諸国での自殺率第一位、世界第二位の自殺国になっています。
しかし国民にこうした体験をさせたからこそ、日本人は無血革命をやろうとしているのです。
小泉さんは自民党をぶっ潰すといいましたが彼の言う通りになろうとしています。
今回の投票結果を平成維新と呼び平成革命と名付けるべきです。
外国の革命を見ると必ず悪政があって被支配者が立ち上がるのです。今回も小泉さんの負の遺産によって国民は立ち上がったわけです。
政治家も学者も次に目指す方向は共生社会の実現と言っています。
私も同感です。
しかしながら共生社会は決してばら色の社会ではありません。
共生社会とは他者を支えることによって自分も支えられる社会のことですから、他者を支え、共生社会の一員になるためにはコストが掛かります。
共生社会に参加するには他者を支える能力を持たなければならずその獲得にはコストが掛かるという意味です。
すると共生社会に参加できない人たち、つまりは他者を支える知的能力、経済能力がない人たちは共生社会に参加できないことになります。こおこに決定的な格差が生じます。
その上共生社会を運用し、司る人たちは官僚になります。
まるで北朝鮮や旧ソ連、そして旧中国のように共産主義における高級官僚の出現と似た状況が日本でも起きるかもしれないのです。
そうさせないためには資本主義における共生社会を企業がリードしていかなければなりません。
残念なことに企業のパラダイムは高度経済成長時代のままです。このパラダイムが古くなりましたから、日本の経済は低迷しているのです。
日本市場はだめだから海外を目指せという人は多いです。できる企業はそれでよいでしょうが、果たして海外はばら色でしょうか。例えば最大の需要国である中国は技術的には発展途上国で、ありとあるものを吸収し世界に追いつけと進んでいます。やがてあらする商品、製品、サービスが世界に追いついたときに、中国人は外国からモノを購入するでしょうか。
13億の民を食べさせなければならず、かつ中国での生産は低コストでできるはずです。
一方、国内市場を復活させなければならないという声も国内には少なからずあります。
政治家は国内市場の復活と言っております。彼らは日本はもうだめだとはいえませんから、そういうでしょう。しかし日本を駄目にしてしまったらもう日本はおしまいです。
共生社会を実現する役割を果たすのが企業です。企業は顧客に売り込むのではなく、顧客の価値を実現することで自社の価値を実現する経営パラダイムを早く構築することです。
資本主義における共生社会のあり方を実現できるのは企業だけです。政治が考える共生社会とは、保険制度のような仕組みを作る以外に考えられないでしょう。
カスタマープリンシプルこそが企業に共生社会をもたらすものと、こうした政治の流れを見つめているとつくづく思います。
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