マーケティングの専門家という観点から見ると、企業は製品カタログを作成することに力を注ぐけれど、販売をすることに力を注いではいないと映っている。
最近CRM業界で人気がある、営業プロセスを可視化して販売生産性を向上しようとする考え方は、製造会社で製造部から社長になった人たちに寄った意見ではないかと思う。
思うだけでなく確信している。
製造部時代には、この社長は製造生産性を向上させることに躍起になってきた。彼は生産性を上げてコストを下げる、品質を向上させてクレームをなくするようなことに取り組んできた。製造部員は全て社内の人間だから上司の命令に従う。こうした経験を積んできた人たちは、合理化は成し得るものと確信に似た信念を持っている。こうした体験者は社長になると営業は実にだらしなく映る。予測は立たないし、月初めに予測した売り上げ数値も月末には狂う、営業プロセスはブラックボックスになっていて可視化できない。それを問題化しない営業幹部。製造部から社長になった経営者は、寸分狂わないで製品が出来上がる製造部と比較して、営業幹部は無能と映り、営業を矯正するにはプロセスを可視化してまずは何をやっているのかを可視化しなければならないと思う。
営業プロセスを可視化して販売生産性を上げようと提案するSFAは、こうしたトップのニーズにぴったりなものなのだ。だから人気がある。その人気は社長の指示から生じたものだ。
しかし、このパッケージを導入した営業マンは、自らの行動を厳しくチャックされ比較されて管理されるものだから使いたくない。時間を有効的に使えと言われてもそれができるのなら営業はやっていないと反論する。利用状況が悪い事を知った社長は業を煮やし罰則規定を作ってSFAパッケージにインプットをさせることを強要する。
SFAの導入で売り上げが上がらないのは、こうした使われ方をしているからである。
定期訪問時に営業マンが訪問して面会した担当者に話ができなくては困るからリレーションシップツール(RSツール)を用意する。これは定期訪問時に話題を作るためのRSツールである。
訪問で何を質問すればよいかもシステムに搭載し準備する。定期訪問から案件が発生すれば、案件プロセスモードに移行し、次には契約をゴールとした各プロセスに応じてRSツールを用意する。営業プロセスの場面に応じて異なるRSツールを準備する。
訊くこと(ASK)は重要な概念だ。
契約にいたるプロセスの進捗時に何を聞いておかなければ提案はできないか、プロセスは進捗できないか、ASKがないからプロセスは進捗できないのだ。
RSツールも極めて重要だ。RSツールはプロセスが進むごとに進捗していかなければいけない。。営業プロセスで必要なRSツールは全てシステムに搭載することができる。
プロセスごとに顧客に提出する資料は違う。多くの企業は製品カタログの作成に力を注ぐけれど(それは大事なことだが)、プロセスごとに営業の状況は変化しているのだから、変化に対応した資料はカタログ一つでは間に合うわけがないのである。
営業はそれを知っているからプロセスごとに必要な資料を都度準備する。あらかじめデジタル化してカスタマイズが効くものはカスタマイズをすることですばやく資料を作ろうとする智恵は営業にはない。それができれば一流の営業マンだ。そこでプロセスごとに必要な資料がわかるなら、あらかじめその資料をプロセスごとに用意しておくことだ。BREALOGICはそれができる。
私たちのコンサルティングではプロセスを可視化するとは、以上のような事を実現することをいう。となるとITはデジタルとして活用するのではなく、アナログを広大精緻に展開できる用に使うべきと考えたほうが正しいと思う。
プロセスを可視化して見えることとは、営業マンを管理することではなく契約にいたるプロセスで顧客から何を聞き、何を顧客に伝えるかのプロセスがどこまで進捗し、逆に言えば何が聞けていないか伝えていないかを知ることである。これまでのSFAはそこができていない。だからSFAを行動管理に使い君は社内時間が長すぎるなどと上司がお小言を言うから日本の営業マンは嫌がる。
SFAを使ったから営業成績が上がったということが、組織の形式知化の実現であることを忘れてはいけないのである。
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