私は、あるパッケージの絞込みソフトウエアに、売り上げ要因分析などのカスタマイズを施し、OEM供給を受けていたことがある。
もちろんシナリオの搭載する機能はない。中小流通業でシステムに高額な負担ができない所には、それなりに機能を発揮しているパッケージである。
さて、このパッケージメーカーと私どもではベースになる機能は同一であるのだが、この会社の使い方と、私どもの使い方がまるで違うのである。
彼らは、顧客を絞り込んでDMをだすのですと言っている。ところが私たちは顧客をターゲティングし、グレード分類し、グレードごとに異なるリレーションシップを行うのですと言っている。
むかしのことだが、このOEMされた服部メソッドを販売したいというベンダーが現れた。
そこで技術的な質問もあると思って、パッケージメーカーの経営者にお越しいただいてデモを行った。
すると、この経営者は、顧客を絞り込んでDMをだすのですといわゆるデーターベースマーケティングの話をした。
聞いているベンダーの人たちが次第にいらだってくるのがわかってきた。どの人も目つきまで不満そうな顔をしだした。
とうとう、今までの絞込みソフトとどこが違うのか、服部さんの考えとはこんなものかと、問い詰めるような激しい質問が出た。
そこで私が話をすることにし、メソッドに従って説明をし直した。ベンダーの人はようやく納得し真剣にメモを取り始めた。
同じ機能を持っているシステムであっても使い方でこうも異なるのか、この事実を知ったときにある意味で驚き仰天したものである。
結論から言うとマーケティングには(CRM)には、目的を達成する理論やメソッドが最重要ということだ。
理論次第でシステムはぼろぼろの竹光になったり、正宗の名刀になったりするのである。
過去に大型CRMパッケージを導入して、今は使われていない企業から相談を受けることが多くなった。見せていただくと特別悪いということではない。
我々からの観点であえて批評をさせていただくと、結局はマーケティング理論が存在していないのである。だから仕組みがない。パッケージの持っている機能に沿って忠実に再現しているだけである。
システムが悪いのではなく、上流工程で正しいマーケティングの理論、したがってマーケティングの仕組みが存在していないのである。だから理論が登載されていない。
したがって使うほうも、なにをやっているのかわからなくなる。機能に忠実に作られているから不要な機能まで使っている。これが余計にマーケティングをわからなくしている。
このことがCRM失敗につながっているわけなのだ。
ここをよく考えないと、いけない。システムの失敗は単純に失敗ではないのである。
現場に合わせすぎても失敗になる。人々は現状を変えようとしない。現場から離れすぎてもいけない。人々は現状を変えようとしない。
現場がやらない理由をシステムのせいにしてはいけない。現場にやらせることとシステムの成否は必ずしも一致しないのである。
システムは使いようである。理論を持たないパッケージシステムは使いようがないのである。見えるだけのシステムが早晩使わなくなると言うのは、見えることがゴールではないことを立証しているからであり、強いて言えばシステムが悪いのではなくシステムに理論を登載していないからである。
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