服部メソッドで使う分析手法である売上げ要因分析で4つの素数、顧客数、頻度、一客点数、商品単価を組み合わせると「顧客」がいかに重要であるかわかってくる。
ビジネスの世界で一般に使われる「商品数量」つまり商品数のことだが、商品数量ときけば、だれでも商品数、点数、と答える。それ以外の意味は持たないと考えるのが普通である。ところが売上げ要因分析で考えると答えは変わってくる。
1.商品数量
商品数量=顧客数×頻度×一客点数
10人の顧客数で平均購入頻度が1.5回、一人の顧客平均商品購入数が2点とすると商品数量は30点となる。
よくある話だが、最近この商品の数が減ってきた、増えてきたという議論は売上げ要因分析で増減の要因がすべて解明できるのだ。
売上げ要因分析の4素数のうち、上記3素数が変化することにより商品数量は変化するのだから、なぜ商品数量に増減変化が生じたのかが解明できる。
すると顧客数を伸ばせばよいのか、頻度を伸ばせばよいのか、一客点数を伸ばせばよいのか、逆に言うと一番伸ばせる可能性のある素数は何かもわかってくる。
2.客数
客数=顧客数×頻度
これまでも、もちろん今でも、流通小売業、飲食業では客数管理をしているのが普通だ。
CRMパッケージを導入している企業でも、客数でしか管理をしていないのは、それでなぜCRMなのかが理解できない。
客数とは、実際は延べ顧客数であって、客数には頻度の概念が内在しているのである。
たとえば客数10人といっても1人の顧客数が10回購入したので客数は10人なのか、2人が5回なのか、5人が2回なのか、この組み合わせは客数を変数と定義すれば数限りなく増えるのだが、顧客数と頻度に分解して客数を管理しなければいけないものなのだ。
CRMとはカスタマーリレーションシップマネージメント技法であり、顧客数を捕捉し、個客を追いかける機能がなければCRMでもなんでもない。
3.客単価
客単価=一客点数×商品単価
客単価は流通小売業、飲食業などでは頻繁に使われている。
一客点数とは一人の顧客が購入する商品数量のことで、一人ひとりは整数だが一定期間単位で計測すると割り切れないで小数点がでる。
たとえば2人の顧客のうち一人は3点購入し、他の一人は4点購入した。
この場合一客点数の平均値は(3点+4点)÷2人で3.5点になる。
客単価を上げるには商品数量を増やすか商品単価を上げるかである。
飲食業では客単価をあげる方法を理解しているが、流通業は単なる前年度比較で管理しているケースが多い。
4.一定期間の顧客一人の購入商品平均数量(一定期間の一客点数)
一定期間の顧客一人当たりの購入商品平均数量=頻度×一客点数
一定期間の平均一客点数は、分析し仮説検証を行う際に活用する。
売上げ要因分析は、売上げが立つすべての項目で使用できるものだ。
顧客グレードごと、個客ごと、商品ごと、商品分類ごと、販売組織単位ごと、顧客エリアごと、などである。
売上げ要因分析を使って現状を分析すると、次の一手が確実に見えてくる。
4素数のどこを改善すればよいかという視点、一番改善できる項目は何かという視点で
みると販促の手法を適切に手当てすることができる。
私は売上げ要因分析をコンサルティング事務所開設の年に創案した。
信じられないかも知れないが、私は、商品単価の下落に悩んでいる「加工サービス業」に対して割り引きセールを大々的に行って商品単価を大幅に上げたことがある。
私のコンサルティング手法は医師が行っている血液検査と一緒である。改善点を素数まで落として見つけ不良素数の改善をはかり全体を改善する。
普通、商品単価を上げるには値上げをする、商品単価の高いものをたくさん売る、商品単価の高い価格体系を構築するぐらいしか考えないだろう。
商品を値引きして商品単価をアップするとは誰にも考え付かないことだと思う。
私は商品単価とはどのように構成されているのかを考えた。適切な言葉ではないが「商品単価」をさらに因数分解したわけである。
その結果驚くべき発見をした。そして値引きセールを行ったのである。
私が何を発見し、なぜ値引きセールで商品単価が上げることができると考えが至ったのか皆さんも考えて欲しい。業種が加工サービス業であるということがポイントだが。
(次号でその話をします)
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