顧客ターゲティングを一般論的に説明すると、顧客ターゲティングとは、一つは維持・育成するべき優良顧客を定義すること、二つは優良顧客へと育成するべき ポテンシャルある顧客を定義することとなる。さらに三つは優良顧客の定義、四つはポテンシャル顧客の定義が必要であり、五つは関係を深化させない顧客の定 義も必要になる。
この定義はマーケティング上の定義であって、かつITで識別できるようにしなければならない定義である。
百貨店を例にすれば、館(やかた)として年間百万円以上を継続して購入していただけるカード会員顧客は優良顧客とする。これは優良顧客の定義になる。年間 百万円以上を継続して購入くださる顧客を優良顧客と定義する。しかしそれだけでは正確な定義にならない。「継続して」を定義すると毎年百万円以上でなけれ ばいけないのか、二年続けて百万円以上であれば、三年目は百万円に達しなくてもよいのかが定まっていないからだ。
さらに百万円の中身が、婚約指輪一回だけのお買い上げ状況で百万円達成してしまった顧客なのか、衣料品、ファッション雑貨などを多くの頻度で、購入いただいた結果としての百万円以上達成した顧客なのか、どちらでも優良顧客としてしまうのかを定義する必要がある。
我々もコンサルティングの現場では、こうした定義を常に行なっているのだが、実はBREALOGICにおける優良顧客定義で一番大事なことは、過去データ に基づく優良顧客の定義で終わるのではなく、未来に優良顧客をどう作っていくかなのである。そのための優良顧客定義なのである。
婚約指輪を一回だけの購入者、その前にも後ろにも購入がない顧客は優良顧客に入れるべきなのか。
百貨店の人に聞くと館の優良顧客として含めるべきではないという。
BREALOGICを理解している百貨店の人は優良顧客育成とは、つまるところ顧客が連綿と続くお買い物を支援する仕組みであって、顧客育成するための物語が必要であるという。
BREALOGICでは館の優良顧客は一グループではない。いくつもの優良顧客グループ群ができる。優良顧客として対象にする顧客は、継続して年間百万円以上を購入いただける顧客とする。
しかしトランザクションデータを読むと高級時計を一回購入して、百万円以上を購入した顧客と、衣服やバッグや靴など高頻度のお買い物で百万円以上を達成した顧客とは、顧客育成の物語が異なる。
我々は顧客育成の物語をシナリオと名付けている。顧客ターゲティングごとにシナリオの数ができる。
優良顧客とは継続して年間百万円を購入していただける顧客で、誰を優良顧客として育成する対象者として定めるのか、ここがBREALOGICでいう優良顧客育成対象者としての定義である。
あとは優良顧客グループ、すなわち高頻度高売り上げ顧客なのか、低頻度高売り上げ顧客なのかで育成の手法が異なり異なった数だけシナリオの数が増えることになる。
これまでのデータベースマーケティングでは、誰が優良顧客であるかという定義に明け暮れていたが、BREALOGICでは誰を優良顧客に育成するのかの定義が重要であり、未来の優良顧客を数多く創って行くことが最も重要なことになる。
顧客ターゲティングとは、したがって優良顧客育成対象者となるのである。
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