【2008.09.16配信】
百貨店に限らず、小売り流通業では3つの顧客ケアがある。
一つはPOS、つまり販売時点の顧客ケアである。ここで好印象を顧客に与えなければCRMの価値は生じない。しかしむずかしいことを要求することはない。きちんとした挨拶ができる。親身になって商品説明ができる。顧客に心地よさを与えることができる。
これらをまとめれば「笑顔と挨拶」、それに「商品知識の学習」に尽きる。
次は本題の販売を基点としたシナリオである。
顧客が特定商品を購入したことによって、販売(購入)を基点に動き出すシナリオをシステムに組み込むことによって顧客に対してのアクションを自動生成する。
これまでは売場の任意で特定商品を購入した顧客に御礼状を出すことはあった。例えば有名ブランドの高額商品を購入すると、御礼状が届くことがある。これらは売り場によっては仕組み化されているものの、やらねばならないほどの強制力があるわけでなく、やった方がよいというレベルである。
しかも店舗全体で一定ルールの元に顧客が特定商品を購入したことを基点としてシナリオを展開しているところは、流通業では弊社が顧客ケアシステムを納入した企業以外にないであろう。
販売を基点としたシナリオとは、一例を挙げると婦人雑貨売場では
1)10万円以上のハンドバッグを購入した顧客に対して
2)翌日御礼状を郵送。
3)内容はそのハンドバッグがいかに優れているかを宣伝めかないで顧客に知らせる。顧客にへえ、なるほど、知らなかった。よく出来ているのねと思わせる内容。
4)御礼状のサイズ、デザイン一切を定義。
5)発送の部署を定義。(どこで制作し発送するか)つまりは5W2Hを定義し、シナリオにしてシステムに搭載するとアクションを自動生成して担当者に指示を出す。
6)次いで購入後6ヵ月後に保管のお手入れ方法に付いて案内を送付。
こうしたシナリオを「販売を基点としたシナリオ」という。
弊社では事例を幾つも持っているが、これまでの売りっぱなし方式と比べ、顧客の購入基点で展開するシナリオを実施したほうが(顧客をケアしたほうが)はるかに再購入率(購入頻度)が高い結果になっている。
購入頻度が2倍になれば、顧客数と一客点数と商品単価が変わらなければという条件が着くが、それだけで売上げは2倍になる計算である。
売上金額=顧客数×購入頻度(平均)×一客点数(平均)×商品単価(平均)の公式で分かるように、どの係数を増やすのかを考えて実行しないと売上げを増やすことは難しい。
販売を基点としたシナリオを展開すると顧客数が増え頻度が増える。つまりは客数が増えて売上げが伸びる。
こうしたシナリオを展開しないで顧客を放置したまま、RFM分析で、おなかが一杯の顧客にもっと買いませんかと販売DMを送る費用と同じ費用で顧客をケアすれば売上げが確実に伸びるなら、どちらを選ぶかはわかりきった話なのである。
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