【2009.05.15配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
毎朝、新聞に目を通すのですが、ふと気付くと政治、社会、経済などの新聞に記載されているニュースは、みな知っている出来事なのですね。一面トップで知らないことはほとんどない。大部分が知っていることなのです。テレビで包装していますし、ネットでいくらでも最新情報がゲットできますから、翌日に昨日起きた情報を読んでも目新しさは無いのです。
サンケイ新聞を長いあいだ読んでいましたが、夕刊を廃止することになって夕方の新聞を読むことができなくなると考えていたのですが、夕刊が無い暮らしって余計なことを一つしないで済んだという気分でした。いまは読売新聞に変えましたが夕刊は取っていません。
新聞のどの紙面を読むのか、調査を各紙とも行っていますが一番はテレビ番組表、二番は漫画、三番が社会面、四番は一面であとは何面を見ているのか記憶もない状況であることがわかっています。
テレビ番組表はネットで一週間分を先取りできますから、これを印刷しておけば新聞が無くて困る生活は一切無いと思います。つまりネットの発達で新聞の価値はなくなっているわけです。
各紙とも読者を広げるには読者を集団で捉えて、集団に合致した記事を書いて集団で読者を増やそうと戦略をとっています。例えば園芸コーナーを広げて園芸が好きな読者を広げようとする戦略です。
日本の新聞がそんな状況にもかかわらず政治に向けて強い力を持っていられるのは、マスメディアであるからですが、実は強力な宅配制度が構築されているからです。
読売新聞は販売の読売と呼ばれていますが、それを支える強力な販売組織が存在しているのです。
もしも宅配制度が崩れ去ったら、新聞は人が集まる駅に売店を作り読者は駅で買うしかなくなります。アメリカでは宅配制度が無いために駅や繁華街で少年がボーイソプラノで、新聞名にメロディをつけて叫んでいるのが実態ですが、そんなわけでアメリカでは新聞がネットの発展もあって著しく衰退をしています。
日本では部数を増やそうと一時期、新聞の自動販売機を駅に設置しましたが売れずに大失敗をしました。
駅の売店でなぜ新聞が売れているかというと、見出しをセンセーション的に書いたチラシを新聞の束に貼り付けてあるからです。言葉で読者を引っ掛けているのです。
例えば「イチローピンチ」などと書いた見出しチラシを貼り付けてあるので読者は何がピンチなのかと思って買うのです。いわば週刊誌が地下鉄の中刷り広告で毎週紹介されて、それを見た人が買うのと一緒で、見出しチラシが無ければ新聞に何を書いてあるのかは分かりませんから顧客は新聞を買わないのです。
そんなわけで新聞に価値は次第に無くなってきているのです。実はこの話はネットが普及する前から言われていたことで目新しい話ではありません。
新聞業界は実は大変に遅れていて、社員は新聞紙上で言っていることと、自分達がやっていることにはものすごい乖離があると自覚をしています。
新聞が価値を実現するとなればいまの体制を全取替えしなければなりません。まず専門性を高めること。読者が競って読むような記事を自主編集しなければいけないでしょう。
記事も警察や検察がリークする情報を垂れ流しに伝えるのではなく、自分達が足でかせいで真実を伝えなければならないでしょう。
おそらく紙に印刷して翌日配布するモデルが、もう終焉に近づいてきていると思います。
その代わりに生まれてくるのが有料インターネット新聞です。どこよりも早く、今飛び込んできたニュ-スは、5分後には記事になっているこんな新聞です。刻々と換わるニュースをリアルタイムで知らせる。読者はいつ見ても中身が新しく変わっているという新聞です。読者は自分で紙面を編集できて、マイニュースペーパーを作れるようにします。
24時間刻々と紙面は変わり続ける新聞です。もちろん世界中の情報がこの紙面に集約されます。
ついでに動画もアップされます。提携した知識人のコメントは自宅にあるテレビ会話でいきなり画像がデータとして編集部に送られすぐに動画としてアップされます。画像の良し悪しは必要がないのです。要求されるのは即時性と内容の専門性だけです。
新聞社にはオートバイに乗った記者が走っていて、ニュースがあればすぐに携帯電話で知らせ、オートバイにまたがる記者は現場に飛んでいって動画を撮影し、それをデータで送信する。編集部はコメントを受けてすぐにアップします。
日本中、世界中に登録した素人記者がいて、地域のニュースは映像で常時送られてきます。
これをデータベースに蓄えていつでも地域情報として配信できるようにします。地方空港で起きたような事故等も地方の登録記者がすぐに画像を送ります。携帯電話で写した写真をそのままメールでコメントをつけて送るだけでよいのです。採用されればお金がいただける仕組みです。
広告も激変します。誰も読まない全面広告は姿を消して宣伝したい商品は顧客学習を構築するような物に変わります。
新聞はこうなればものすごい価値が出ます。
いまの紙に印刷して翌日配布するモデルはもはや通用しないのですがなぜ通用しているかといえば、新聞を読むことが習慣になっているからです。今日のテレビは何時に始まるのか、今日の野球はどこのチャンネルでやるのかなど帰宅してからの予定を立てる習慣がついているからです。
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