【2009.02.06配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
顧客対話を続けます。
日本では営業担当者の営業プロセスを組立てるのに大変な苦労をしています。作っては修正を繰り返し、これで完成だと最終形と思ったものでも、現場に落とすとなぜか違うと異論が噴出しています。
大企業の中には営業担当者のプロセスを決める専門の部署があって、朝から晩まで営業プロセスを研究していますが、それでも定まらないでいるのが現状です。
この問題は、営業プロセスという一本軸にすべての事柄を押し込めようとするところに無理があるのであって、一本軸を多軸に変更すればすぐに解決します。
そのためには売り込むのではなく顧客と対話をするのだと考え直す必要があります。
まず、営業担当者の営業プロセスとは会社としてどうしても通過しなければならない項目だけにするべきなのです。例えばハウスメーカーでは決めなければいけないことといえば建て主の土地についての調査です。続いて図面の承認、外装の承認、内装の承認、什器の承認です。これが決まらないと見積書を作成することができないからです。
従来のSFAでは、一つひとつのプロセスを進めるのに何が必要かと細部を聞き出しプロセスを進ちょくさせるためのアクションを加えていきます。だから、プロセスとアクションが混在し意味が分からなくなっていきます。
情の関係を構築するプロセスを一本目のプロセス軸に置き、顧客との学習関係を深化させる理の関係プロセスを二本目に置くと、マトリックスになりますから、それぞれの進ちょく状況が目に見えるようになります。
すると情の関係と理の関係を数値化する必要が出てきます。情の関係進ちょくプロセスと、理の関係進ちょくプロセスを数値化するには、プロセス一つひとつを数値化することが求められます。
さらに情と理の関係を進ちょくさせるには言葉だけでなく態度、対応が必要で、若い営業担当者でもできるようにするためにはツールが必要になってくるのです。
これで情の関係と、理の関係の進ちょく度を可視化できるようにします。
これまでのSFAは生産性を向上させることを目的としていましたから、例えば「一日になんで同じ顧客に2回も訪問するのか、こういうことを無駄というのだ。二回訪問を一回訪問にすれば生産性が上がるではないか」と、営業担当者は上司から叱られていましたが、顧客対話では顧客が出した宿題をその日のうちに答えを持ってきた行為は、対応力も素晴らしく、情の関係も理の関係も増したことになります。
メーカーが強い日本の企業はメーカー中心の発想で営業プロセスを組立てますが、製造部が求める生産性と、営業部が求める生産性とはまったく異なるわけです。
製造部では無駄の排除を最優先にすることで生産性を上げますが、営業部では顧客と関係を深めることが受注につながり生産性が高いことになります。一日に二回訪問したことをメーカー発想では
無駄な活動と見なしますが、顧客対話ではそれによって契約に一歩近づいたわけですから、生産性を上げる有効な活動となります。
その実現に向けて営業担当者が行うプロセスの成果は情の関係と理の関係を深化させることに全力を挙げるべきで、そこが営業担当者の入り口でもあり出口でもある訳です。
さて、顧客対話では
(1) 情の関係深化アクションプロセス
(2) 理の関係深化アクションプロセス
(1)と(2)のマトリックスで関係度を可視化しながら営業プロセスを進ちょくするために
(3) 顧客の購入プロセスを確認するASKプロセスと
(4) 本来の営業プロセスを受注に向かって進ちょくさせるプロセス
(3)と(4)のマトリックスで顧客対話を受注に向かって進ちょくさせていくことを展開していきます。
このように一本軸であったプロセスを四本軸にしたがために営業活動ではない、「顧客対話」のシステム化に成功させたわけです。
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