【2009.07.31配信】
戦後からの経営パラダイムの基本であったヒト、モノ、カネの三要素経営は、安定経済時代には通用しないはずなのに「顧客」を経営に加えない三要素経営が続けられたのは、ヒト、モノ、カネをコスト削減の対象とした結果です。
ヒト、モノ、カネ三要素経営の象徴として君臨していたマスマーケティングが、かつてほど威力がなくなった背景はインターネット時代になったからですが、実は三要素経営が終焉をとげたからなのです。
新聞、テレビ、雑誌、ラジオなどをマスメディアといっていますが、マスメディア各社の経営が悪化しているのは広告がなくなったからですが、実はヒト、モノ、カネ三要素経営が崩壊をしていることが真の理由であることに気がつかなければなりません。
ヒト、モノ、カネに顧客を加えた四要素経営があるべき経営体の姿です。顧客を経営要素に加えないで経営が成り立つわけがないのですから。
かつてオラクルやSAPが、「ベストプラクティス経営」を、実現して世界戦略にして世界中の企業に普及をさせようとしたことがあります。
それはCRM(顧客)、ERP(ヒト、カネ)、SCM(モノ)を有機的につないで、ベストプラクティス経営を実現しようとする構想でした。
経営は四要素にすることによって経営は始めて有機的につながります。これが実現できたといって世界戦略として展開しようとしたオラクルやSAPの構想が実現しなかったのはCRMの不適性さが理由でした。
CRMのパッケージは出来たけれど、何を載せるかが議論されずにシステムが持っている機能だけを作り上げて、顧客要素とはまったく切り離された営業担当者の行動管理、時間管理に使われたからです。
日本ではマネージメントは管理または経営と訳されます。したがってCRMとは「顧客関係性管理」と訳していますが、本来は「顧客との関係性を構築する」と訳すべきです。
その本質に迫らず、営業担当者の行動を管理しても、顧客要素を経営に加えたことにはなりません。
さて、カスタマープリンシプル活動では、業務プロセスは価値実現のプロセスと意味付けています。顧客にとっても、販売をする企業にとっても価値を実現するプロセスのことです。
共通の価値を実現するためには、顧客と企業が、同じ立ち位置にいることが原則です。
だから営業活動の本質は、業務プロセスを進捗させることではなく、顧客と企業(営業担当者)が、同じ場所に立って取り組みの関係を構築することです。
それは何でしょうか。
答えは明らかです。顧客と信頼関係を構築して、顧客の価値を発見することです。
信頼関係を構築するには、情の関係と理の関係を深化させることです。ビジネス上での信頼関係を構築するためには、情と理の関係が深化しなければなりません。
信頼関係ができれば顧客が求めている潜在的な、顕在的な価値を発見するためのASKをすることができます。
顧客の関係者全員に対して、営業担当者による情の関係と理の関係の進み具合が可視化出来て、かつ価値発見プロセスであるASKプロセスが進捗していることが可視化できれば、顧客と企業(営業担当者)は取引関係者ではなく、取組関係者となって、ともに同じ立ち位置にいることになります。
このときに、社内の業務プロセスは、顧客と企業の共通した価値実現プロセスに姿を変えるのです。
カスタマープリンシプルにおける関係の可視化、ASKプロセスの可視化は、確度が高まることを意味します。営業担当者を管理するための可視化ではなく、関係深化のアクションやASKプロセスの進捗を自己採点するわけですから、点数が甘いか、辛いかは業務プロセスが顧客の価値実現プロセスに置き換えられたかどうかで、すべては自分に還ってくるわけですから。
さて、カスタマープリンシプル活動が定着すると、案件発掘確度も案件獲得確度(受注)も非常に高くなります。見積書は出したけれど契約できるかどうかは判らないと言うことにはなりません。営業担当者は確信を持って受注前に「この案件は今月受注になります。
製品は何で納品は何月で、したがって請求書発行は何月で、入金は何月です」と言えます。
この意味はすこぶる大きいのです。案件と製品を紐付けることができますし、キャッシュフローが営業活動による資金計画と連動してくるからです。
カスタマープリンシプル活動を展開するCRMシステムをERPやSCMと接続して実現するものがベストプラクティス経営です。
ベストプラクティス経営とは生産性が高く無駄がない業務プロセスを以って最低のコストで最高の効率を上げる経営手法のことです。
カスタマープリンシプル経営が根付いた企業は次に多くの経営者がやりたくて実現できなかった、オラクルやSAPが世界戦略として構築したにもかかわらず実現できなかった、ベストプラクティス経営を実現できるようになります。
コメント