【2009.09.11配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
政治の世界は選挙の結果や政治の失敗などで劇的に変化をするが、経済の世界は緩やかに変化をするといわれていました。
政権交代で権力が自民党から民主党に移りました。民主党のマニフェストによって民主党が選ばれたのではなく、自民党がだらしないからお灸をすえるために民主党を選んだのだと評論家の一部の人は言います。またある人は、平成維新といい、無血革命ともいいます。
日本人は明治維新に続いて平成維新を何の争いもなく粛々とやり遂げたという意味です。
さて、私はあることを非常に注意深く興味を持ってみています。
それは民主党のマニフェストのうち、高速道路無料化などの財源をどうするのかと心配する国民が大勢いることです。それに渋滞が生じてだめだという意見です。トラックの運転手やトラック協会の偉い人たちは、無料化すれば渋滞をするし、顧客から値引き要求がされるので困るというのです。そのうえ、CO2が増え、時代と逆行するというのです。
テレビで発表されたアンケートでは回答者の64%が高速道路無料化反対というものでした。
私たちは経営パラダイムをシフトするコンサルティングを行っています。必ず社内には改革を反対する人たちがいます。そうした人たちが発する言葉と、高速道路無料化反対の意を唱える人の言葉があまりにも似ているのです。この点が私の興味がある点です。
ちなみに高速道路無料化に対する私個人の感想は次の通りです。
●政治が新しい政治パラダイムにシフトした。
●これまでの官僚丸投げ政治から、政党主導の政治にシフトされる。
●新政府の考え方で、従来とお金の使い方を変えるといっている。
●日本は世界一、それも驚くほど高い高速料金を定めて国民は支払っている。
●国が造る道路は無料と法律に定められている。
●国民が財源をどうするのかと心配する必要はまったく無用である。
●新政府が無料にするというのだから無料になることを素直に喜ぶべきだ。
●皆は渋滞するというが本当にそうか。
●高速道路が無料になったからといって、渋滞し続けるとは思えない。
●いまは週末だけ安いから、しかも時限立法だから安いうちに出かけようと思うが、いつでも無料となれば、誰も彼もが高速道路を走り続け渋滞し続けるとは限らない。
●日本に走っているクルマの台数は減少していて、長期的に見てもクルマが増え続けることはない。だから渋滞し続けることはない。
●CO2削減だから高速道路無料化反対とは別のこと。モータリゼーションを否定することはできない。自動車メーカーがエコカーや電気自動車を開発してCO2削減に努力をすることと、道路使用料を有料から無料にすることと次元を同じにしてはいけない。
●自分の体験では高速道路を走ったほうが、使用燃費は圧倒的に少ない。こちらがエコになるのではないだろうかと思う。
●JRは影響が出るだろうが、良い意味での競争原理が働くわけでJRの運賃が下がれば国民にとってはうれしいことだ。
●無料にする経済効果については国土交通省が、効果は高いと発表し認めている。
●物流コストは下がるであろう。デフレではなく価格構造改革による価格引下げが実現する。
などと、PCに向かって思いつくまま書いてみましたが、まだいくらでも思いつくと思います。
人間は、これまでの制度に安住しているのです。私は高速道路を走るたびに異常に高い料金に腹立ちますし、アメリカやヨーロッパの高速道路網を幾度も運転して走った経験がありますので、料金所を通過するたびに、よくぞ日本人は我慢してこのような高い高速料金を払い続けているなとあきれていましたが、政治が変わってお金の使い方を変えるよ。
高速道路は無料にするよと発砲しているのに財源はどうするのかと反対する国民とは、どのような精神構造を持っているのかと、考え込んでしまいます。
子供手当てでも同様で、日本は将来に経済が破綻すると予測される人口減に向かって進んでいます。ですから政治は人口を増やすためにどのような手段でも使わなければいけないのです。子供手当ての財源をどうするのかと国民が言うのもおかしな話なのです。
これを知的水準が高い民族という人も、長い間の官僚政治に飼いならされてしまった民族と比喩する人もいます。
政治に関しては民主党が正しく政治を行えば国民もやがては民が主であることに目覚めるでしょうし、自民党も再生する良い手本ができて二大政党が競い合う世の中になるかもしれません。
経営に関しては、もはや人、物、金の三要素経営体制では超成熟した社会、かつ超高齢社会、少子社会に生きぬくことはできないのです。
経営としてまったく手をつけていないのは顧客政策です。顧客政策を加えた経営四要素体制を作り上げて、顧客と関係性を通じ、顧客と一緒に価値を実現する持続した共生・共歓の経営体制を実現するために着手をしない限り、企業は椅子とりゲームに勝てるわけはないのです。すべては顧客が決める時代に突入しているのですから。
企業を経営四要素体制にするうえで一番の課題はトップの理解度です。
●我が社には顧客第一主義という立派な経営理念があるではないか。それ以上に何が必要なのか。
●費用対効果はどうなのか。顧客要素を加えたらいくら売り上げが伸びていくら利益が増えるのか。
●そんなことをやる前に、足元に改善することはいくらでもあるだろう。
私は、11月2日に出版される単行本ですべての答えを出しています。
最近の政治交代に伴うさまざまな報道を見ていますと、子供手当ての原資をどこから持ってくるのか。高速道路無料化の財源はどこにあるのかという国民の声が、新経営パラダイムシフトを提案する経営企画部門に反論するトップの声と実に似ていることに気づかされました。
私は日本中が「ゆでがえる現象」で充満していると思います。経営危機は分かっていても何が危機の要因かが見つけて本質的な改善をせず、ただ、営業の訪問軒数を増やせなどと号令をする姿と、子供手当ては「ばらまきだ」となじる姿に共通点を見出すのです。
尚、蛇足ながら本内容に政治的な意図はまったくないことを付け加えておきます。
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