【2010.06.18配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
先日、大手新聞社の記者と4時間ほど会談をしました。
ここでは記者をAさんと呼びます。Aさんに新聞業界の将来を聞きました。
私も大手新聞社販売部の仕事を数社やりましたから業界事情をよく知っています。
新聞各社が部数減と広告減で困惑しているのはご承知の通りです。
さて、本題は新聞社がこれからどうなるのかということです。
Aさんはアップル社のiPadテンプレートに負けないように自社のテンプレートを構築して守り育てるようになるだろうといいます。そして重要なのはコンテンツだといいます。
コンテンツがテンプレートを育てるからです。
私はAさんと会話をしながらいろいろと考えを思い巡らしました。
テンプレートはデバイス(装置)に寄らないものが主流になるだろう。ということはiPadでさえもいつまで主流の座に居られるかは分からない時代です。HTML5のニュースはアップル社だけではなく私たちの耳に入っています。
するとコンテンツがすべてを規定する時代が来ると結論に至ったのです。
CRMの世界を振り返って見ます。
クラウドはテンプレートに相当します。いまはクラウドという名のテンプレートを使ってCRMを活用しようとしています。
ところが、コンテンツがワンパターンです。例えば訪問営業活動に使用しているSFAは、訪問日報をIT化したものに過ぎません。
話はがらりと変わります。
日報をIT化したシステムが(古いコンテンツが)新しいコンテンツに変わらずにいつまでも続いていることが不思議です。
このことが日本の閉塞感を如実に現していると思うのです。
上司は部下を管理するために存在している企業にとって日報は必要不可欠ですが、上司が率先して売上を取っていく企業にとっては日報だけではいささか不満なはずです。
営業プロセスを解明して仕組み化して効率よい営業を展開しようと考えている企業にとっては、仕組みも無くやったことの、後追い報告日報は意味をなしません。
日本が体験している閉塞感の大半は企業がつくり上げたものであり、その原因は高度経済成長時代の営業をそのまま展開しているにすぎないことから派生していると、私は思います。
しかし私はCRMの世界にも動きが出てきていると思うのです。例えばあるSFAベンダーの中にはBREA理論の「情と理の部分」を模倣しだしてきています。
こうなると顧客戦略が一切含まれない日報システムではなく、日報に顧客戦略の一部が表現されてきだしたと考えるべきです。
私の目からは情と理を模倣しても顧客戦略でもなんでもないと思いますが、けれども閉塞していたCRM業界にコンテンツが動き出したのです。
やがてテンプレートとコンテンツが利益の源泉になる時代がやってくると私は信じます。
先のAさんは新聞業界の話に置き換えて私に語りましたが、IT業界も同じです。私たちコンサルティング業界も同じです。
クラウドコンピュータの代表格となっているセールスフォースドットコム(SFDC)を精査しましたが、ほぼBREA理論を搭載することができます。しかし今実際に使っている企業の例を見ますと日報です。
一時期、一世を風靡しましたシーベルを使ってBREA理論を構築することができます。
SFDCもシーベルも足りないところは若干の作り込みが必要になりますができます。
SFDCやシーベルをテンプレートとするなら、日本はすぐにテンプレートがよいとか悪いといいますが、これは誤りです。大事なことは何をどのように載せるかであって、これはコンテンツの分野なのです。
日本ではコンテンツとスペックを見誤りました。デバイスが持つスペックがコンテンツと思い違いをしたのです。
先の新聞記者Aさんは夜中の1時に携帯電話でたたき起こされて取材現場に向かうそうです。その成果がコンテンツです。そこには専門的な能力、公平な表現力、豊かな経験に支えられた知性に加えて夜中に起きて仕事をしてもびくともしない強靭な体力や精神力が必要とします。ですからコンテンツとは人間の行為そのものから生まれた成果物なのです。
コンテンツの時代とは人間性復活の時代であり、21世紀のルネッサンスであると思います。システムの持つスペック通りに、忠実に構築したCRMが営業社員からボイコットをされたのは最近の話です。営業改革とは売上が伸びる改革で無ければならず、それは顧客とのプロセスを改革するプロセスであり、顧客を巻き込んだプロセスの改革でなければならないはずです。
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