【2010.12.17配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
いま、私は単行本を出すために執筆中です。手がけてから正味5日間ですが、35%くらい進んでいます。平日は仕事が入っていますから執筆はできません。夜は実に集中できますが、そのために夜中の12時近くまでPCに向かうことになって、翌日に影響をしてしまいます。そこで執筆時間はせいぜい21時までに留めています。21時と言うのは翌日執筆疲労が残らないギリギリの時間と言う経験値です。そのため執筆は休日を利用して集中することになります。
今回の書は年末年始の休日を利用して1月11日に出版社へ手渡す予定です。ですから着手してから脱稿まで正味10日間の執筆期間です。これは実は誰も信じてくれないスピードです。
書を出している友人に10日で書いたといっても絶対信じません。嘘をつくなといわれてしまいます。かつて日経BP社から出版したビジネス小説は正味10日で書きました。
私は、執筆中は手のひらにはいる手帳を持って歩きます。電車に乗るとすぐに手帳を広げて思いつくことを書きます。そういう時間は執筆時間には含めておりません。
もう一つ、10日間で書き終える要因があります。今回の本はビジネス小説なのです。だから書きながら物語を展開することができます。これは右脳が強い働きをしている私にとっては非常に得意とする分野です。
10日で本を書けるもう一つの理由があります。
「急な仕事は忙しい人に頼め」と言う慣わしが編集会社にはあります。暇な人に急ぎな仕事を頼むなと言う意味でもあります。忙しい人は時間を効率的に使って生産性を高める仕事の作法を知っているから短時間でできるということです。私の場合にはたくさんの企業からたくさんのコンサルティングをいただいておりますし、そのほかにもたくさんの仕事をしていますから、おそらくのんびりと仕事をしている人から見ると、想像もつかないほどの仕事量をこなしていると見えると思います。長年そうやっていますから私はそのスピードが慣れています。ということで執筆速度が速いのです。
いま書いている本の内容はBREA理論に、客観誘導理論や、RPG設計理論、タブレットCRM理論を組み合わせた集大成のようなものですが、本を書いていると自分自身が整理しなければなりませんから新たな発見をすることがたくさんあります。
ですから本を出すことは自分の研鑽に非常に役立ちます。
今日はその過程で発見した話を致します。それは客観誘導についてです。
社会にはルール化しているものとルール化していないものがあります。ルール化しているとはこうやってくださいと決めたものもありますし、こうやってはいけませんということもルール化されたものに入ります。
そしてルール化したことをそのとおりに行う人と、行わない人がいます。人をあやめてはいけないことはルール化されています。それでも人をあやめる人がいます。
話を進めます。
企業は営業プロセスを設定して(ルール化して)このとおりにやりなさいと指示命令をします。それでもルールとおりにやる人と、やらない人が出てきます。企業としては決められたルールとおりに要求していますから、やってもらわないと困るわけです。
ここではやらない理由を改善しなければならない話は飛ばします。入力の意味がないSFAを記載しないのはSFAの設計理論が間違っているからですが、その話をここで書くと本題から離れますので話をさらに進めます。
ルール化しているものを守ってもらう、つまりは実行してもらうには厳しく管理をする方法が一般的です。警察や検察がルール化したものの違反者を法に基づいて罰則を与えると言うのはルール管理手法です。企業でもSFAに記載しない人の人事評価を下げることも、罰則の一つです。
プロセスを中心にした営業プロセスを発展していくと営業員と顧客のプロセスまで及んでいきます。さまざまな質問をしますし、顧客に選択を迫ることも営業プロセスには入ってきます。
これからが大事な話なのですが、分かりやすい話に言い変えますと、営業プロセスを考えるには、企業が決めたルール(プロセス)を顧客にも守って実行してもらわなければならないことをあらかじめ計画し設定しなければならないということです。
営業社員でさえやらないプロセスを、社外の顧客に実行してもらわなければならないのです。しかも社外の人に指示命令はできませんから、管理監督をすることができないと言うことです。
いま、企業の目的が顧客価値の実現であることは言うまでもありません。
話を少しだけ脱線させます。
法人税が5%さがることで米倉さんは経営者の目的は企業を拡大することだと言っておりましたが、これは三流レベルです。経営者の理想は経営品質を高めること、目的は顧客価値の実現です。企業の拡大はその結果です。
話を戻します。
いろいろな会社が営業プロセスと称している資料をみると、必ず顧客の課題を発見すると書いてあります。営業員に顧客が求める価値をヒアリングして聞くことがプロセスと言うわけです。
これはプロセスとは言いません。
プロセスとは過程のことですから、顧客価値を発見することを目的とした過程をプロセスと言うのです。どこの会社の資料も具体的に過程を示していません。目的を書いてこれをプロセスと言っているのです。
さて、顧客が求める課題は顧客に聴かなければなりません。顧客は簡単に真実の課題を教えてくれるでしょうか。課題とは企業の現実のことです。現実を聞いて営業員はどのように現実を構成している事実を変えようとしているのでしょうか。そういうことはどこの会社の営業プロセスと称しているものを見ても書いてはありません。
私たちがコンサルティングの現場に入る時はNDAを締結したうえで、顧客はあらゆる企業の事実数字を見せてくれます。そうしてどのような質問にも答えていただけます。
ところが売り込みの営業員が顧客企業に訪問し、すでに不自由なく使っている製品のことで、それを売り手の都合で入れ替えるためであることが見え見えのヒアリングをして、顧客は課題を答えてくれるでしょうか。
私が言いたいことは社内の都合でルール化したプロセスを指示命令できない顧客に従わせることはできないと言う事実です。
何らかの選択をしなければいけないときに、顧客は企業の都合でつくった主観的な情報に基づいては心を開かないということです。
すると企業が乗り越えるには、プロセスを真剣に確立するには営業員と顧客との関係性と、これから語る客観誘導力ではないでしょうか。
(この話は次週に続きます)
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