私たちがコンサルティングを行っている大手ハウスメーカーでは、営業プロセスごとにいくつものリレーションシップ(RS)ツールを制作し、プロセスごとに使ってビジネスを成功している。
これまで、つまり我々がコンサルティングをする前の展示場営業マンは、来場する顧客の品定めをし、脈ありと見たてた顧客に対しては待ち伏せをしてでも果敢に攻めて、ほとんどが玉砕する営業方法を続けてきていたが、現在―つまりコンサルティングをして我々のRSコンサルタントが制作するツールを使うようになってからは、顧客の方から問い合わせが続いて契約率が圧倒的に向上してきている。
自社の住宅構造を一日かけて顧客対象者に勉強をしていただくコースがあるが、顧客は営業されてしまうと恐れをなして、営業マンの呼びかけに耳をふさぎ、したがって見学会に顧客を呼ぶのは至難の業であったが、私たちが作成したRSツールを配布するようになってから、顧客の方から参加したいと呼びかけをいただくようになり、営業マンは実に集客が楽になった。
昔、私がコンサルティングを始めた頃、40代になったばかりの頃ではあるが、この頃はどちらかといえば、販売生産性を向上させる観点で指導をしていたことがあった。その頃は決して営業マンは喜んで会議に参加をしなかった。いろいろな理由をつけて会議に参加しないことが多くあった。
いまでは、こうして営業マンが楽になって業務が推進するコンサルティングを行うようになってから、営業マンのほうが率先して会議に参加し、それも笑顔で参加してくるようになった。
彼らには立派なカタログがある。これでもかというほど豪華なパンフレットがある。設計図面集もあるし販売することについてはいたれりつくせりだ。しかし顧客と関係を深めていくためのRSツールは何一つない。
営業プロセスを細分化し、可視化することは大切なことだが、そこからが重要な三叉路だ。
プロセスを進捗させて契約に至るまでの道筋を描いて、RSツールを準備してプロセスを進捗するための支援をするのか、あるいはプロセスに掛かる時間を管理し、生産性を管理するのか、これでSFAの狙いは大きく方向転換することになる。
営業マンは次のプロセスに進めることができなくて、右往左往しているのが現実である。どうしても次のプロセスに話を進めることができない。売ろうとするほど顧客は逃げる。
顧客は胸襟を開かない。
住宅営業マンが次の営業プロセスである見学会を進めても、顧客は参加すると返事をしない。見学会に参加していただければ、うちの住宅がどれほど良いかわかってもらえるのにという意識が営業マンにはある。だから熱心に勧める。しかし顧客は心底から素直になって営業マンのいう話を信じることができない。その理由は簡単だ。営業マンが勧める住宅に住んでいないからだ。住んでいなければわかることは少ない。この落差を埋めるものがプロセスごとのRSツールの存在なのである。
私はプロセスごとに制作しているRSツールが、営業プロセスの進捗、しいては契約率向上に実に大きな影響を与えていることに正直言って驚いている。
営業マンは売ってはいけないのだ。売ろうとするから、売ろうとするためのツールばかりを準備するから顧客は身体を引く。
私たちが作るRSツールは売ろうとはしないし、売ろうとするそぶりもない。だから売れるのである。
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