一回限りの売上げ作りであれば誰でも出来る。デジカメ購入の方に薄型TVを先着50名さまにもれなくプレゼント、51名さまからはデジカメ購入の方に無制限で薄型TV8割引。本日限りとチラシを打てば夜中からお客様を並ばせることができる。
この方法は仕組みとは言わない。継続したら会社が成り立たないからである。
価格の安さで取った顧客は価格で他店に取られる。
仕組みを作ることは、継続した売上げを作ろうとするルールを作ることであり、しかも誰でもがやれなければいけないことである。
したがって重要視されるのは原理原則である。
経営に売上げを作る仕組みを新たに作るということ。
我々が実施している仕組みとは、顧客と関係を深め、商品を提案してLTV実現を目的とした仕組みである。この仕組みがまさか薄型TVプレゼントにはならないことはいうまでもないことである。
本来ワントウワンマーケティング(顧客と関係を深めて維持育成をして、LTVを実現するマーケティング手法)を導入しようとする試みは、ワントウワンマーケティングの原理原則に則って仕組まれなければいけないのである。
売上げを上げること、そのためには商品力、宣伝力、販売力、人間力、競合関係、立地条件などさまざまな要因があって成り立つ。
ワントウワンマーケティングは、そのなかで顧客との関係を構築する仕組みである。
一例を挙げよう。
私は某カード会社のゴールドカード会員であった。
ある時、このカード会社から所有のゴールドカードをプラチナカードに移行しないかと特別の案内が来た。それはまさに特別の案内であった。カード会社が決めた人だけへの提案ということであった。仕事柄どのようなサービスが生じるのか関心があって私はプラチナカードを申し込んだ。
2週間くらいしてプラチナカードが届いた。いままでのゴールドカードは。はさみを入れて切り捨てて欲しいと書いてあった。晴れて私はプラチナカード会員になった。
話はこれからである。
それから1ヶ月後に、プラチナカード入会を検討していただけたか。ぜひプラチナカードを持って欲しいと「特別のご案内」がまた届いた。
それから2週間後に、今度は「選ばれたあなたにゴールドカードご入会のご案内」が届いた。ゴールドカードは1ヶ月半ほど前にカード会社の指示で、はさみで切り捨てたカードである。ゴールドカード勧誘の案内はスタンダード会員を対象にしているキャンペーンである。
分かりやすく言うと、当初は航空会社がビジネスクラスに乗っている人に、ファーストクラスに乗り換えろと勧めたようなものである。ファーストクラスに移行した人に、ファーストクラスへ移行してみませんかと勧めるのは手違いとしても、今度はファーストクラスに移行した人に、ビジネスクラスに乗ってみませんかと案内をするのは失礼な話である。
同じ航空会社の話であるからだ。
これでカード会社が選んだ「特別な案内」は地に落ちた。相当数のクレームが届いたことと思う。IT担当者は名寄せが十分ではなかったというだろうが、真実は入会後の関係構築の仕組みがないことによって生じたミスである。
顧客と関係を深める仕組みを構築し、顧客育成を図り、今月顧客創造を図り、結果としてLTVを実現することは大変に重要なことである。
売上げ=顧客数×購入頻度×一客点数×商品単価で成り立っている。
すなわち売上げは、お客様一人一人が何回来店して購入し、一回に何点買ったか、そのときどきの単価の商品を選んだかで決まるものである。
この公式こそが売上げを作る原理原則である。だから仕組みは顧客数が増えるようにするため、購入頻度を高めるようにするため、お買上点数を増やすため、商品単価を高めるためという考えが根底に流れていなければならない。
顧客育成の仕組みとは、アップセルクロスセルをしてくださるようになっていく仕組みのことである。
仕組みを作るとはこういうことである。
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