営業職のBPRをLife Time Value Management(LTM)の観点から見直すと(1)案件発掘(案件提案)プロセス(定期訪問プロセス)→(2)契約に至るプロセス→(3)納品・検 収・集金プロセス→(4)アフターフォロープロセス→(5)再案件発掘(再提案)プロセス→LTMプロセスとなり、スパイラルアップすることによる継続し た価値を獲得することになる。
前号で記したように、SFA導入の価値は導入したことにより(1)契約率が高まり(2)LTMが実現することにある。可視化はその二つの実現に向けての必要条件であり、最終目的ではない。
SFA導入は営業職のBPRを構築することから始まるケースが多いのだが、多くは現状のBPRを下敷きにして整理するか、暗黙知となっている現状のプロセスをできるだけ多くの営業マンから聞き出して一つに整理することが普通である。
この方法では現状のプロセスを可視化するだけが目的で、契約率を高めることや、LTM実現に通じないSFAが導入されたことになる。
このパターンは、データベースマーケティングと同じわだちの後をトレースしていると私は思える。
当時、企業は取引明細をデータベース化し、分析するようになってからさまざまなことがわかるようになった。いわゆる見える化が実現できたのである。企業は見える化を実現できて、これで売上が伸ばせると思った。けれども現実に売上は伸びない。
実際のところそうだ。
分析したら売上が伸びるのであれば倒産する企業はない。同様に現状の営業職BPを整理しただけで売上が伸びるのであれば経営者に悩みはない。見えることと契約率を高めることとは別のことなのである。
かつて欧米からSFAが導入された時、多くのITベンダーの営業マンがわずかな講習を受けてBPRコンサルタントに変身をした。
私の事務所には当時のBPRコンサルタントが行なうことをマニュアル化したものが残っているが、現状のBPをヒアリングし整理することだけが書かれてある。
当時から今日まで、SFAのコンサルティングとは「現状のBP整理」をベースとしたコンサルティングであったわけである。
次世代SFAは現状のBPを整理し可視化することは当然で、その上に立って契約率を高めるためにさまざまなBPを追加して契約率を実際に高めることができるようにしなければならない。
それだけでなく、BPの範囲を拡大して、先に述べたように(1)案件発掘(案件提案)プロセス(定期訪問プロセス)→(2)契約に至るプロセス→(3)納 品・検収・集金プロセス→(4)アフターフォロープロセス→(5)再案件発掘(再提案)プロセス→LTMプロセスに至るスパイラルをアップさせるようにし なければいけない。
そして、さらに大事なことはプロセスを進捗させるためのリレーションシップ(RS)をミックスしたRSプロセス(RP)をBPと絡ませあうことなのである。
契約率を高めるためには顧客の心を動かさなければならない。顧客の心は営業マンがBPを追いかけても動くわけがない。BPを進捗させるためにはRPが必要になる。
したがって次世代SFAはこんなことであろうと考えるとすぐに下記5つが思い浮かぶ。
(1)アナログで全設計をすること。この時点では紙ベースで設計をする。
(2)BPとRPを構築し契約率を高めるためのプロセスを確立する。
(3)さらに生涯価値をマネージメントできるようにSFAを確立する。
(4)BPを次のBPに進捗させるためにはRPの設計が重要となる。
(5)さらにはRSツールを作成する能力が必要となる。
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