欧米型SFAは、SFAシステムを構築する上で骨組みとなっている欧米文化と日本の文化の違いが阻害の一要因となって、一時的にブレイクしたものの、定着ないままに下降線をたどっていったことは承知のとおりである。次はプロセスの見える化を錦の御旗にして登場したSFAであった。
「欧米型SFA」も、「プロセスの見える化SFA」も、ベースになった考えはBPRである。
SFAはBPRであるとする考えは「欧米型」も「見える化型」も同様であった。
それは私がいつも発言しているように欧米型SFAは在宅勤務者が会社に報告するためのシステムとしてスタートしたものであるという生い立ちがあることに起因する。
在宅勤務者は出社せずに業務を行うものだから、会社は在宅営業マンの活動が見えるようにすることが当然のことである。
しかしながら、ビジネスプロセスという軸一本に営業全プロセスを組み込むことはいささか無理があるというものである。
営業活動は、営業マンが困難に立ち向かって案件を発掘し、競業との戦いの末に案件を獲得し(受注し)、かつ納品後にフォローをし、クレーム対応もしながらまた次の案件を発掘し、やがては信頼関係が構築されLTVを実現するまでが含まれる。この営業活動が、プロセス一本軸で管理することなど、不可能な話でな のである。
したがっていま存在しているSFAは、プロセスマネージメントにセールスプロセスを貼り付けたものであって、営業活動全体を熟知して構築したものではないといえる。ここにSFAが日本企業にしっくりと適合していない理由がある。
だから今のSFAは営業マンの行動管理をするもので営業マンのやる気を阻害するシステムであると言われ、上司と部下の交換日記と言われてしまうわけである。
販売の現場は、こうしたことがよく分かっているのだ。
営業マンのプロセスは突き詰めれば案件発掘と案件獲得案件フォローになる。しかしプロセスを追いかけても契約には至らない。プロセスマネージメントとはプロセスを再設計し無駄を省き、生産性を上げようとするものである。
営業活動には顧客という対象がいる。営業マンは顧客と関係を深め、信頼されなければいけない。
関係性こそが営業活動の決め手になるにもかかわらず、今のSFAはそこが全く無視され、営業活動の無駄を省き、販売生産性を上げることだけが論ぜられている。
販売生産性とは、販売活動の無駄を無くして訪問件数を増やすことではなく、確実に案件を見つけ、案件を獲得する効率を追及することである。
顧客との関係性は二つに区分けされるはずである。
一つは「理」での関係性。二つは「情」での関係性。
すると関係性とは何か、内訳として理の関係性とは、情の関係性とは何か。どう実現するのか。
さらに理と情をいかに数値化するのかという課題が生じる。
次に、顧客とは誰かという議論を避けることが出来なくなる。
この議論を発展させて行くとSFA、BPRを残しながらもワン・トゥ・ワン・マーケティングに発展していく。
そうなのである。SFAはBPRから脱して、B2Bワン・トゥ・ワン・マーケティングとして考えていかなければ、日本に確実に定着できるSFAになっていかないのである。
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