【2007.12.14配信】
家電メーカーの最大の過ちは良い製品を造ってさえいれば顧客は買ってくれると思い込んだことである。現実には良い製品を造っても顧客は買ってくれないのである。
SFAを導入した企業が、プロセスが見えるようになったのでこれで売り上げが伸びると信じたが、実際には見えることと、売り上げが伸びることとは別のことであると気付きだしたのは最近のことだが、これと同じように良い製品を造ることと、良い製品を売れるようにすることとは別なことなのである。
家電量販店が、他社より高い価格であることを指摘してくれたら、その価格より安い価格で販売しますと低価格を打ち出し、その上キャッシュ還元ポイントを 10%〜20%分もつけて販売しているのだから、まともに考えればメーカーは儲かっていないことは一目瞭然である。メーカーがCRMを導入したいことは明らかである。
しかし大部分の量は家電量販店に抑えられている現状ではいかんしがたい状況だと決め付けているからなかなか実行ができないでいる。
いくつかのメーカーがチャレンジした。私の知識ではSONYと、PCにおけるNECである。
SONYは製品に顧客登録促進を行い、登録することでアプリケーションを入手できるような仕組みを構築した。NECはPCのコールセンターを構築し、顧客登録することで使用PCに最適なドライバーをダウンロードできるような仕組みにしている。
家電メーカーは顧客を握ることに全力を注ぎ込むべきと思う。
家電量販店に利益の大半を吸い取られる今の仕組みを変えていかないと、開発力は萎え国際競争からも離脱することになる。私は村松さんが指摘するように、このままの状態が続いたら第二・第三の三洋電機が生まれてくるのは明らかだと思う。
私は家電量販店はファクトリーアウトレットに使えばよいと思っている。新製品がいきなり家電量販店に並ぶのは常軌を逸していると思っている。
そんな観点で村松さんからの叫びを読んで欲しい。
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村松です。
メールマガジンの「利は顧客にあり」は考えさせられました。販売店はどこも(百貨店だけでなく家電量販店も)全国で激しい競争を繰り広げ、提携・合併などによって業界の寡占化が進んでいますが、メーカーは単なる安売り競争で、大量製品仕入れによる有利な値引き条件を引き出そうとする量販店の値引き交渉力に任せておくとメーカーの利益が少なくなり、新製品を開発したり、品質を改善したり、新しい技術への投資をしたりする余裕がなくなってしまっていることに気 がついてきていると思います。
その結果、世界で低価格だけの競争とならざるをえなくなり、技術的には差がない韓国や中国(台湾)のメーカーにシェアを奪われ、日本のメーカーが窮地に立 たされています。現に世界シェアトップにあるのはデジカメやDVDレコーダーなど数えるほどしかありません。そして国内での雇用の減少、製造工場を多く抱 える地方経済にとっては深刻な問題となっています。
自由な競争になってよりいいものがより安く買え、地方の雇用喪失につながらないようにするためには、日本の消費者がもっと賢くなる必要があると思います。つまり、値段だけでなく、品質もしっかりチェックして、製品を選ぶとともに、購入先の選択でもただ安いということでなく、商品知識やサービスも評価 することが重要だと思います。
アパレル業界で百貨店離れが起こっているというのは、電機業界でも同じことがいずれ起こるのではないかと思いました。家電量販店だけがWINになる構造、大型合併が続いているのは、電機メーカーにとって利はありません。
アパレルメーカーの直販体制と同じような流れで、販売組織の構造を変えていこうというのはメーカーのメガトレンドだと思います。まず、そこからスタートするべきなのでしょう。
既に始まっていることですが、いかに利益をV字回復してゆくかは、家電量販店頼みの大量販売さえできれば良いという考えから脱却すること、つまり、メー カーの顧客は今まで量販店でしたが、利益を量販店に奪われ、WIN(店)−LOSE(メーカー)からメーカーが脱却するためには、メーカーが直接、消費者 を顧客として捉えて、顧客戦略を立て考えることが非常に重要なポイントになるでしょう。とはいっても、予想以上に頭の固い人は多いですから、過去の成功事例にとらわれない考えを経営者はじめ、従業員や株主、すべてのステークホルダーが共有できるかどうかが成功の鍵だと思います。
メーカーが直接、商品を販売し、顧客を育成することは、従来の量販店から相当な脅迫を受けるでしょうが、恐れず、怯まずに、断行することから本当の改革が始まるのでしょう。そして、顧客から選ばれるブランドになることが利益を得るための最大のポイントだと思いました。
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