【2008.02.08配信】
考えられる、あるべき顧客戦略は4つある。
一つは、顧客戦略が売り上げを伸ばせる仕組みになっているかである。
これまでSFA、CRMは、プロセスや顧客の見える化がゴールであって、売り上げを伸ばすため、契約率を高めるための顧客戦略ではなかった。
これからの顧客戦略は、見える化は当然のこととして、継続して売り上げを伸ばすため、契約率を高めるための理論を持って、理論に基づいた顧客戦略が実践できなければならない。売り上げを伸ばすためには、顧客に購入いただかなければいけない。するとターゲティングをした顧客を常に追いかけられる仕組みになっていなければならない。
顧客数が極めて少数なら人の手で、顧客を追いかけることはできるだろう。
けれども数十万人、百万人単位のなかから特定して顧客を追いかけることは不可能だ。
追いかける顧客を別出しにしておいても意味は同じである。追いかける顧客を追いかけて、見えるようにしてその後どのようなアクションを取ったら顧客は心が動き、心地よく感じ、また次に購入いただけるのであろうか。顧客をどう追いかければ、長期的な関係が構築できるのだろうか。顧客データで売り上げを、しかも長期にわたって伸ばすには、以上のようなことを構築しなければならない。
二つは、顧客戦略で売り上げを伸ばし、LTVを実現する目的とするなら顧客と企業(企業、営業マン、販売員)との軸を、関係深化(Relation ship)に置かなければならない。つまり顧客戦略は、ワントゥワンマーケティングの理論と手法を導入することになる。
関係が深化しなければビジネスは継続できない。顧客は企業や営業マンをしっかりと見て確認している。確認できたからこそ心を開き、気を許す。そうして信頼関係を築き上げることができる。したがって顧客戦略はCRM、SFAともにワントゥワンマーケティング理論を持っていることが必要となる。例えばB2Bビジネスでは、顧客企業には窓口から決裁者に至るまで、さまざまな個客が存在する。B2Cでも個客一人とは限らない。家族単位でも夫婦、こども、祖父母、同居人、影響者など、さまざまな個客が存在する。顧客戦略は、顧客(複数の個客)との関係を数値化し、戦略・戦術化し、アクションとして実行できる具体的な手法を持ち備えていなければならない。
三つは、これからの顧客戦略は、インターネットテクノロジーを駆使して顧客創造、顧客維持、離脱防止、育成、顧客紹介、アップセル・クロスセル、LTV実現を展開できるように仕組まなければならない。特に家電メーカーなどは、販売店があいだに入るとエンドユーザーのデータを捕捉できないために、顧客戦略を実現することはできなかった。顧客戦略は、インターネットテクノロジーを使うことで、顧客データを正確に捕捉できない顧客層に対してでも、顧客維持・育成が実現できるようにしなければならない。
これまでの顧客戦略は、RFM分析で、顧客を抽出し、DMを出すことが関係作りの原則であったが、新しい顧客戦略はあらゆるメディアを駆使して顧客を創造し、維持し、育成することになる。ここがこれまでの顧客戦略との相違点である。
四つは、顧客を無視する戦略を貫いている企業のことである。当社顧客戦略を取っていないという返事をする企業は多いが、それは認識不足で、正しくは、当社は顧客に対しては原則として無視する顧客戦略を取っていますと答えることが正しい回答になる。
日本の企業の大半は、顧客をケアしない顧客戦略を取っている。だから顧客も企業をケアしない。
顧客価値を得るためには、見合うだけのケアをしなければならない。
LTV最大化が夢物語と思っている企業は、顧客をケアしない戦略を取っているからなのである。
LTVを実現したければライフタイムケアを実現することが必要である。
LTVは顧客を生涯にわたってケアしたその成果なのである。
逆からいえば、頻度1の顧客が多い企業や店は、顧客をケアしていない成果として実現できた結果なのである。
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