【2008.02.15配信】
リゾートトラスト株式会社の営業と話をしたことがある。熱海の沖合に初島があるのだが、ここにリゾートホテルがあるので会員権を買わないかという友人からの誘いであった。
リゾートトラスト社は会員権を販売する会社で名古屋に本社を持ちリゾートホテル39ヶ所、ゴルフ場12ヶ所を持つ非常に評判がよい会社である。なぜ評判がよいかというと友人から営業マンを紹介するからお前もこの会員権を買え、すごいサービスを受けるぞという紹介があったからである。
私は仕事柄、会員組織に興味を抱いていたので、いろいろと質問をし、営業マンはまじめに答えてくれた。
会員権ビジネスはどうしても押し売りセールスで、売ってしまえばどうぞご勝手にお使いくださいとするイメージであったから、私は率直にそこから話に入った。
するとこんな答えが返ってきた。
「確かに会員権を販売する営業はどこの会社でもそのようであったと思います。私どもも営業は販売をすることが目的で営業活動をしています。ですから私どもも同じようなことであったと思います。しかし、私どもは会員様がどのくらい施設を利用なさっているのかを着目いたしました。すると案の上お客様の個人差が多く利用なさっていない方はまったく使われていないことが分かりました。お客様は施設を利用するために会員権を購入なさったのですから利用されなければ購入する意味もなくなります。
そこで私どもは会社の仕組みを見直し、新たな仕組みを作りました。
一つは、営業マンは販売目標だけでなく会員様の施設利用目標を持つことに致しました。
営業マンの評価基準を変えたわけです。私達のお客様は富裕層の方が対象になりますから教育には大変熱心に取り組んでいますが、さらに購入いただいた会員様を施設利用を高めるための教育を実施いたしました。
営業マンは施設利用の資料を見て、施設利用のアドバイスを徹底いたしました。思ったよりも大変なことで、お客様は忙しいのでいけないという方が多く、そのためにはライフスタイルを変えることまで取り組まないといけないのでした。
営業は真剣にこうした課題と取り組んで、それでも忙しいと言う方には時間を無理やりに割いていただいてまず一度はご利用いただくことから始める、そのときは営業マンも同行致しました。
一方、富裕層の方はすでに高質なサービスを受けておりますから、施設へ行ってなんだこの程度かという感想を持たれてはお終いです。
私どもは世界的に有名な超高級ホテルからコンシェルジェを採用して、リゾートホテルにふさわしい、世界のどこにも負けないおもてなしの仕組みを完成いたしました。
そういう変革をしている間に、昔ながらの売ってお終いというスタイルから会員様を慮る営業ができない営業マンは消えていきました。
会員様は施設を利用することでご家族やご友人達が、素晴らしいサービスを受けて本当に感動してくださいました。
そこでこうして私どもの営業マンはお客様から紹介を受けてこうして新しいお客様にご説明ができる営業になっていきました。ですから私どもの営業のスタイルは販売した会員様を末永くお付き合いすることと、こうしてご紹介いただいたお客様にご案内することが仕事の大部分となりました」
これが顧客ケア企業である。
すべての営業はこの形に変えられる。変えた企業が勝ち残る。百貨店でも自動車業界でも、みな同じである。
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