【2008.05.23配信】
ビックサイトで行なわれたCRM展示会で、データマイニングを販売するブースで説明員が自社のパッケージを説明した。
その要旨を書いてみよう。
「例えばこの高級ハンドバッグを購入した顧客をマイニングしてみました。すると40代の女性で兼業主婦が多いことが分かりました。さらにマイニングを続けますと、そのなかで過去3ヶ月以内に買っている顧客が多いことが分かりました。さらにマイニングを続けますとこの顧客が買う婦人靴は2万5千円以上であるケースが多いということが分かりました。
そこで40代の女性で、兼業主婦で、過去3ヶ月以内にお買い物があって、買っている婦人靴は2万5千円以上の顧客で、このハンドバックを買っていない顧客を抽出したら、158名いることが分かりました。そこでこの158名にハンドバッグのDMを送って購入促進を計るのです」
私は質問をしてみた。
『カタログを送るとどうなるのですか』
すると
「むやみやたらにDMを送るより、効率が高いということです」
『効率は数値化されているのですか』
「いえ。いません。あくまでも仮説です」
『DMを送れば買ってくれるのでしょうか』
「買ってくれると思いますが」
『そうですか。いや、ありがとうございました』
絞り込んで顧客を抽出しDMを出すのだとする話はよくあるデータベースマーケティングの手法である。
RFM分析よりはよほど説得力がある。
けれでもDMを送ったら本当に買ってくれるのだろうかという疑問はだれでも残るだろう。
少しでも議論をすれば、必ず【そうは言っても】ということになる。
・顧客の好みが加味されていないじゃないか。
・DMを送れば買いに来る行動をとる人かどうかがわからないではないか。
・顧客が欲しくなければ買いに来ないのではないか。
・まだいくらでもあるだろう。
データマイニングに話を戻そう。
このハンドバッグを買った人は併せてこの婦人靴Aを買っている。
このハンドバッグを買った人は併せてこの婦人服Bを買っている。
この人たちは身長が160から165センチの人が多い。
服のサイズは圧倒的に9号だ。
この人たちは仕事で使っている。
この人たちの髪の毛は長い。
ブルーが好きで似合う。
静かで大人のムードがある。
すると40代兼業主婦で、婦人靴Aを履き、婦人服Bを着て、サイズは9号で、身長は160から165センチで、髪の毛が長い、ブルーが好きで、静かで大人のムードがある顧客を抽出して、この人たちの関係進捗度を確認し、シナリオを組み込む。
関係進捗度に合わせてシナリオは3本用意する。
例:関係は進化し、いつでも電話ができる顧客に対するシナリオ。
【シナリオ1】
売場から電話をかける。システムが自動的に顧客を抽出して売場の担当者ごとにアクション指示を出す。
【話し言葉】
近藤様、○○デパート、ハンドバッグ売場の渡辺です。いつもお世話になっております。
お元気でご活躍のことと思っております。いかがお過ごしですか。
(ここで顧客の話を聞き、あいづちを打つ。それはすごいですね。それはがんばっていらっしゃいますね。苦労話が出ても頑張っていらっしゃいますねとあいづちを打つこと)
近藤様、近藤様にぴったりのカバンが入りましたの。この前お買い上げいただいたスーツございますでしょう。それとおそろいの靴とピッタリですの。私が撮影した、上手くないのですが(笑う)プリントしたものをご自宅にお送りしますのでご覧になっていただけますか。
近藤様にピッタリ。
本当にお似合いになると思いますので是非とも売場にお立ち寄りいただきたいのです。
では写真を贈りますね。よろしくお願いいたします。
≪注意≫
売ろうとしてはいけない。お似合いになること間違い無しなのでお薦めしているスタンスを崩さないこと。
【挿入する手紙文章】
= 省略 =
【写真を送るリストとラベル出力をシナリオで自動指示】
= 省略 =
【再度の電話】
【シナリオに基づいて電話アクションを自動指示】
話し言葉
= 前文省略 =
写真ご覧になりましたか。いかがでしたか。
顧客が肯定的なら
= 省略 =
顧客が悩んでいるなら
= 省略 =
不要というなら
= 省略 =
肯定的な顧客には自分のスケジュールに合わせて来店いただくようにする。
お持ち申し上げておりましたと表情を加える。
販売後のシナリオ
電話◆2日後に、いかがでしたか。電話で商品のこだわりについて説明をする。
シナリオでアクションを自動指示する。
DM◆2週間後 商品のこだわり部分を資料で送付する。シナリオでアクションを自動指示する。
電話◆2ヵ月後、ハンドバック、お気に召していますか。シナリオで電話をかけるべき顧客と電話番号、それに話し言葉を担当者に自動的に知らせる。
DM◆3ヵ月後 保存の仕方を資料でお知らせする.シナリオで自動指示。
DM◆次のプロパー商品を案内する。
顧客ケア・マーケティングではすべてをシナリオで展開する。
データベースマーケティングは、仮説を立てて、絞り込んで顧客を抽出し、いきなりDMを送ってお終いとするところが問題になる。
これで売れるなら、業績が伸びないで悩む小売業はない。
顧客ケア・マーケティングとデータベースマーケティングの違いがお分かりになったと思う。
分析は必要。しかしそのあとのプロセスがまったく異なるのである。
そして顧客情報は、トランザクションデータだけでなく、売場でしか分からない顧客情報をデータベース項目にすることが大切である。すなわちデジタル化である。
すると売場でしかとれない顧客情報を得ることが重要になる。そこで私は、これからの店舗は売場でしか取れない顧客情報を獲得するシステムが必要になると思う.それはSFAなのである。
私は仕事をしていて、店舗もSFAになって行くと思うのである。
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