【2008.09.26配信】
マスマーケティングは一度しか売れなくとも仕方がない手法である。
マスマーケティングには、顧客を特定してケアをするという考え方も仕組みもまったくない。
それはマスマーケティングが顧客の不特定、特定を問わず多数の人たちを対象にしたグロスのマーケティングであり、目的は商品の販売量にある。たくさん売れればそれで完結終了するマーケティングであるからだ。
マスマーケティングは展開次第では大量に顧客を獲得できる手法である。しかしかなしいかな、顧客をケアする手法がないために、一回の顧客を一回購入頂いたままで取り逃がしてしまうのである。
旅行業も良い例である。
ハワイに行きたいと思う人は旅行業の店舗を回ってハワイのタイトルがあるパンフレットを抱えきれないほどたくさん集めて内容をチェックする。さらにネットでも調べて特定をする。
申し込めばチケットが来ておしまい。出発カウンターでチケットを貰っておしまいである。
顧客は次の旅行にも同じパターンをとる。
通販業も良い例である。
顧客はどこの通販会社から購入している意識は少ない。カタログを見て気に入れば申し込む。
通販会社はRFMでカタログを送る顧客を選別する。顧客をケアしようとする考えがない。
だから今通販業は毎回一回限りの顧客を獲得詩、一回限りの売上げを作ることに専念せざるを得ず、経営的に苦戦している。それはTVショッピングでも同じことである。
流通業や通販業、旅行業にとって顧客を創造することと、創造した顧客を維持育成することはクルマの両輪である。新客を作り、新客の中身を特定し、顧客ケア戦略をとる。すると顧客は再び当店を利用してくれる。この輪が善循環してくると売上げは確実に好転してくる。
先号のメールマガジンで書いた成果は、顧客ケアをした成果の実例である。
新客のうち特定した顧客をケアしたことで一年後にこれだけの成果が生まれたのである。
その数値を再掲してみよう。
なんとこのビジネスでは顧客ケアをしたことによって一回購入した新客が、年間で4回以上も購入してくれる上位顧客に育成されたのである。
その後一年間に購入しなかった顧客:67.3%→28.1%に減少した。
その後一年間に一回購入した顧客:16.3%→8.1%に減少した。
その後一年間に二回購入した顧客:5.8%→4.3%に減少した。
その後一年間に三回購入した顧客:4.7%→3.9%に減少した。
その後一年間に四回以上購入した顧客:5.9%→44.4%に大幅増加した。
むかし、ワントウワンマーケティングが誕生した当時に、多くのITベンダーが、「マスからワントウワンへ」とするキャッチフレーズを作った。
しかしそれは誤っている。正しくは「マスとワントウワンとを」である。
マスとワントウワンは並行して存在するものである。
新客はいつまでも作り続けることは出来ない。新客対象者はおのずと総量に限界があるからである。
だから顧客を創造し、創造した顧客の中からターゲティング理論に基づいて特定し抽出したポテンシャルある顧客を育成することを並行して実施していくことが、これからの経営のポイントなのである。ここが分からないと困る。
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