【2010.07.09配信】
iPadに対する企業の期待は実に大きいです。経営者が自ら指示を出しているのです。
「うちもiPadを検討しろ」と言う風にトップダウンで降りているのです。どう活用するのか想像もつかない業種でも、社長はiPadを検討しろといっております。なぜかと言うと分かりやすいですし、使途の可能性が見えるからです。
ところが指示された担当部署は頭を抱えています。使い方が分からないからです。ある工作機械メーカーはiPadで製品の全体写真、部分写真を搭載して顧客先に見てもらうことと、機械の稼動状況を動画にして見てもらうことは思い浮かんだけれど、どのようなシーンでそれをどう使えば有効的なのかが今ひとつ納得できないといっています。
実際にiPadを手に持って考えても営業のシーンでどう使えば有効かを簡単には思いつきません。
大手広告代理店はデジタルサイネージ(電子看板)で使用することを提案しています。
どう使えば良いのかわからないということもありますが、本当は果たしてiPadが自社のビジネスモデルに載り得るのかという検証ができていないことが本音です。
それはテレビCFと違ってiPadのアプリを作っても大きな利幅が取れないかもしれないので踏み込んで事業として合うかどうかが検証できない。もっと具体的に言ってしまうと、採算性が取れないであろうと判断しているのです。インターネットで流すコマーシャル動画(テレビでも使えるレベル)の制作費用は、有名タレント費用を別として一本3000万円から5000万円と言われています。しかしiPadのアプリケーションが1本3000万円から5000万円とはいえません。おそらく400万円から500万円止まりでしょう。
SI会社もiPadをどのように使うかの提案ができるレベルではありません。
したがっていまiPadの置かれているビジネスユースの位置は微妙で企業は熱いまなざしを送っているけれど具体的な活用方法が分からない。大手広告代理店は手を出せないでいる。
SI企業も分からないという段階です。
iPadの画面をにらんでいてもソリューションは生まれません。iPadの活用とは顧客接触時におけるプロセス設計にほかならず、iPadというメディアを有効的に活用するには背景に理論と創造力と専門的な経験力とデザイン力などの右脳的な知性を仏用とします。
プロセスもこれまでSFAで安易に構築していた会社都合による見積書提出までのプロセスはまったく役に立ちません。企業都合の営業プロセスは本当のプロセスではないからです。SFAに搭載されている営業プロセスは、営業社員の行動を管理するために企業都合で造った業務マイルストーンにすぎません。商談がどこまで進んでいるのかを可視化するために企業が造ったマイルストーンを営業プロセスと名付けているだけなのです。
iPadの活用方法を考えろと言う経営者の直観力は確かです。iPadは瞬時に顧客の課題に対するソリューションを提示できる可能性を秘めているからです。
iPadはCRMとしてそれだけで機能できる要素を持っています。
しかしだからといってアイコンをずらりと並べても営業社員は使えないと思います。営業が活用するとは営業プロセスを進捗させる力をiPadに持たせることことにほかならず、iPadを使ったら契約率が高まった、顧客との関係性が一気に深化できたと現場から次々と報告が上がってくるようにしなければ意味はありません。
すると営業におけるiPad活用には、一体何が必要でしょうか。答えはおのずと出てきます。真実の営業プロセスを搭載し、営業である自分が今進めている商談の、顧客との関係性の中で、どの位置にいるかを確認でき、次のプロセスに進むために顧客の課題を解決するためのソリューションを即時に提案できるようにすることです。これはiPadしかできないことでもあるのです。
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