【2010.07.30配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
企業活動とは顧客価値の創造活動であると言われ始めています。ここでは価値について話を致します。
顧客価値の実現は企業が悩んでいるところです。価値実現をできずに放置すればコモディティ化してしまうと恐怖心が芽生えています。けれどもどうすれば価値が実現できるか分からないのです。
価値とは何でしょうか。いきなり答えから申し上げます。価値とは顧客の認識上に存在する概念です。さらに言いますと価値とは顧客の脳内現象で創造されるものです。したがって顧客が価値と認めなければ売り手が価値ですと説明をしても価値ではありません。ここがポイントです。価値ではないのです。価値になりえない存在なのです。顧客の脳が価値と認めていないからです。
一方、売り手企業が価値と認めていないものでも、顧客の脳が価値と認めたものがあります。
予想外のヒットですなどと売り手企業が言うのはその例です。
売り手は価値を商品で実現しようとします。それは誤りではありませんが、似たような商品が次々と誕生し、どこでも同じような価値を顧客に並べ伝えますから価値は差別化できずにやがてはコモディティ化してしまいます。家電が良い例です。
ところが良く考えてください。売り手は顧客に価値を正しく伝えているでしょうか。残念ながら売り込むだけで価値を伝えていないのです。それが真実です。そしてそれが問題です。
企業の多くはこのことに気付いていません。
メーカーは製品を開発する時はさまざまな要素、例えば企業の製品開発歴史観、開発者の想い、商品の未来方向性、ライバルとの関係などを十分に検討して開発に踏み切ります。
それは機械だけでなく、衣料でも食品でも飲料でも医薬品でも同じことです。
それが販売の現場では価値として伝えていません。あきれ返るほどです。伝えていないとは営業員が話していないという意味ではなく、伝えていないという意味です。
ここも重要なポイントです。顧客の脳に「なるほど!納得、理解した」と思わせ、これは大切な価値だと分からせない限り伝えたことにならないのです。
営業員が顧客に伝えましたと、上司に報告をするけれど顧客にはまったく伝わっていないことがあります。こんなことはたくさんあります。それは顧客の脳に「なるほど!納得、理解した」と思わせる、このことを私は「顧客の心を動かし、プロセスを進める」と表現していますが、このことができていないのです。
そのわけは、売り込むことだけで顧客に価値を真剣に伝える活動を行っていないからです。
このことは営業員の責任ではなく、顧客戦略に付随するもので現状の仕組みがもつ欠陥です。
顧客誘導はネットの社会では普通に行っていますし、RPG(ロールプレイイングゲーム)では設計の原則にさえなっています。
マスマーケティングを展開する企業では、感性に訴えて顧客を誘導することをしています。テレビコマーシャルも、売り場のマーケティング(フィールドマーケティング)も同様です。
しかし真からのファンになっていただき、企業の代弁者として友人知人に商品を薦めてくださる状態を築くためには、顧客の脳にこれは価値であると認めさせる活動が必要になります。
このことが顧客誘導の本質です。
すると価値とは、顧客の脳が定めたものと定義をすることができます。
誘導の本質はここにあります。
私がタブレット端末を顧客誘導デバイスと定義したとは、顧客の脳に訴え、これは価値と認識してもらうのに最適だと考えるからです。このワントウワン・コミュニケーション・デバイスに、顧客の脳に訴求して価値と認識いただくさまざまな表現方法をとってみることができるからです。
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