【2010.09.10配信】
顧客と商品の成熟化と、そこから生まれたコモディテイ化現象は、消費の変化に大きな影を落としていますが、見落としてならないのはネットによる商品購入が圧倒的に増えてきたことです。
ネットでは欲しい商品を検索し、商品を探し当て、商品を購入し、使用感などの商品評価を記載することで完結するように誘導をしています。そして新たに商品を購入したい人はその評価を見て、購入の判断にします。iPadのアプリを購入する時は評価を書くようになっていて、アプリを購入する人は必ず評価を読んで購入の判断にします。
ですからネットの社会では、消費の流れが使用した顧客が使用感などを書き込んだ情報を得てから購入を決めるというパターンに流れが変わっているわけです。
一時期、ネットの社会で話題になった勝間和代さんの本の評価を事例に挙げましょう。
勝間さんは2009年12月に「結局 女はキレイが勝ち」とタイトルした本を上梓しました。その本の評価がAmazonに出ました。113人が評価を投稿し、いま五段階で★★が全評価の平均です。
★一つ(最低評価)トップに出る「キートン砂糖」氏が下した本誌への評価の一部を下記に記載します。
【あれほど頭良くて客観性があった人間が、自分の考えに絶対の自信を持ち始め、こんな本を出版することに疑問をもつことすらなくなってしまう。
勝間さんは頭がいい人だから、これも狙って書いているのだと思いたい。
自己実現、自己成長本のカリスマも書くネタが無くなり、ラインを超えてしまったのだろうか。 勝間バブル崩壊を象徴する一冊だと思う。
追記。
経営者のヨイショ本を出版されると完全にラインが超えてしまう人になる。
なんか既視感があると思ったらこの本だ。この人も完全にあちらの世界へ行ってますよね。
経営のカリスマは自分の思考を客観視できなくなってる。よくこんな本を出版出来るなと唖然としてしまう。】
Amazonで読者からここまで悪い評価が下されると本が売れないと、この本を担当した出版社の編集者は頭を抱えたとネットでは話題になりました。そしてこの評価を1638人が読み、1598人が参考になったと回答をしているのです。
「メーカーの作ったカタログは読むけれど、売り込みの言葉は信用していない。私はネットで商品評価を見て商品を決める」と言う人は非常に増えています。特に若い人はネットとともに成長している人ですからこうしたことに敏感です。
ネットでは一時期、商品を言葉で飾り立てて販売する手法が流行(はやり)、いまでもそのようなサイトがあります。例えば蟹(かに)を販売するサイトでは、大きな文字で寅さんの口上のように言葉を並び立てて長いスクロールをさせて見たものに買おうかと思わせる手法です。一時期、流行ましたが、今では手の内を消費者から見透かされてきています。こうした手法は、一時的には流行ますがやがて廃れるものです。なぜかというと顧客の心をしっかりと掴む精神構造ではないからです。
多くのネットビジネスは商品を飾り立てる手法もありません。そして商品を評価するサイトがあって善意、悪意も、見解の相違も、知性のレベルもなにもかも包含した全方向的な評価に晒されているのです。
一方、目標を立てて目標達成のために企業を訪問することは主観営業です。百貨店はVMDという商品を美しく見せる手法に長けていますが、これも売り込み営業の一手法です。
ですから、私がここで客観営業力に着目をして、こうして皆様に提示している背景は、主観営業分野にネットビジネスの客観営業手法が入り込んできた時代背景があると考えるのも一つの見方です。
すでに顧客は商品使用者による商品評価を参考にして商品を購入することを知り、購入したあとに、時には自分も評価する側に回るという消費行動になじんできているのです。
消費の目が変わってきているとはこのことです。
消費の目が変わっている市場に対して、相変わらず今月購入してくれる顧客を追い求めてそれ以外の顧客は切り捨て、訪問軒数をKPIにして訪問件数と受注件数は連動すると太鼓を叩き続ける時代ではなくなってきているのです。
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