【2010.09.17配信】
いま消費行動、購入行動が変わってきているのは、成熟化、そしてコモディテイ化した社会になっただけでなく、ネットで商品を購入する際に、商品使用者が評価する商品評価情報が商品選択の決め手になっているという主旨が236号のあらすじでした。
237号では客観営業力を増床新装した銀座三越の事例で語ります。
これまで高級ブランド商品は「箱物」と呼ばれ、ブランドイメージにふさわしい店舗空間を作り上げていました。
ブランドメーカー、特にアパレルではクロスセルをしていただく目的から、例えば紳士服ならスーツ、ジャケット、スラックスのほかにワイシャツ、ネクタイ、靴、カジュアルシャツなどを陳列しています。
銀座三越はこの箱を取り払ってしまったのです。ブランド商品を並列し、顧客はブランド間の比較が容易にできるようになりました。それだけでなく従来なら同じ箱でクロス購入を行っていたものをスーツはA社ブランド、ネクタイはB社ブランドと買い分ける選択肢が広がりました。
銀座三越の店舗改装はメディアの情報によると伊勢丹主導で行われたそうですが、VMDでは他社をリードしていた伊勢丹が、売り手側の都合ではなく、買い手側の都合に合わせてVMDの考え方を新たな進路へ舵を切ったことは驚きです。時代に適合させるためにこれまでの成功体験から脱皮したわけです。そして私はここに客観営業力を感じます。
大事なことを記します。
これからはすべて顧客の評価に晒されて決まるということです。なぜなら顧客の評価は客観だからです。
顧客の評価は主観ではないかと異論がある方もいると思いますが顧客の評価は客観です。
企業の特徴表示が主観なのです。
Amazonではすでに評価を5段階に分けて表現していますが、この手法こそが主観を客観にする手法です。
ある本の評価をみると★1つの評価もあり、★★★3つもあり、★★★★★5つの評価もあります。これらを整理して公表しています。この評価情報の個々は主観といってしまえば主観ですが、顧客が評価の基準となる★が何個か選定した理由を明確に書いていますからこれは客観評価といって差し支えないのです。
評価を読んだ人は、その評価をまた自分の考え方と照らし合わせて評価すればよいのです。
話を銀座三越に戻します。
販売側はMD政策に合わせて商品を選択し並べているはずですから、どちらのほうがよいですとネットで書いているような評価情報を示すことはできません。
だからこそ客観情報を提示するのです。特にファッション系商品は選択に当たっては、堅牢度とか、耐洗濯回数などのハード面ではなくだけ、ファッション性などのソフト面が重視されます。好き、嫌い、似合う、似合わない、格好よく見える、美しく見える、デートにぴったりだ、これならお呼ばれに着ていけるとするソフト面です。ソフトを無視してファッション関連商品の販売はできません。しかし購入するのは顧客ですから商品選択は、顧客が求める価値と価格と照らし合わせて顧客自身が決めなければいけない問題です。
百貨店はどこでもベストな商品を選択し販売していますから、商品に不備があれば商品は取り替えるか、返品することを原則にしています。それだけ商品に自負を持っています。
さらに銀座三越は、自分達が選択したベストな商品を皆様の前に並列し、(箱物から脱皮し)、私たちはブランドの境目を無くしましたから、お客様は比較をして最適な商品を選択してくださいとする客観営業力を添えたのです。
客観営業力は販売前に有効な働きをする手法です。このことを正しく理解した顧客から圧倒的に支持をされると思います。
ただ、売った後にこそ客観営業力は遺憾なく発揮できます。もしも売る前は丁寧だが売った後に相変わらずプロパー時期のDMや、セールのDMを送り続けていては客観営業力を身につけたとはいえません。
この後は伊勢丹の文化より三越の文化と言ったほうが適切かもしれません。
客観営業力で購入いただいたお客様に、「グッドチョイス」素晴らしいご選択でしたというご案内をするのです。
お客さまのご購入になったブランドの企業理念、デザイン理念、パタンナーの理念、ブランドメーカーの歴史などを客観情報としてお知らせをして、素晴らしい選択でしたとするグッドチョイスメール(紙DMでも、Eメールでも可)をお届けすることで顧客は正しい商品理解をします。お買い求めいただいた商品が高額商品なら、その商品に特定してどれほど素晴らしい商品であるかを客観情報としてお知らせしてもよいのです。
これらはCRMの範疇です。客観営業力はCRMやSFAと連動するとよりよい効果が生じるのです。
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