【2010.10.29配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
いろいろと準備をしておりましたが、「客観誘導力」の本を出すべく執筆を開始しました。
下記は、序文に当たるところの原始原稿です。本がでるのは半年くらい先でしょう。
部分ですが紹介いたします。これまで本メールマガジンで客観営業と、顧客誘導の話をしておりましたが、意味合いが少しずつお分かりになってくると思います。
顧客誘導手法には善も悪も載せることができる。
企業が善意を以って客観誘導方法を導入したとしても、社内組織の誰かが、作為的に顧客に悪意を持って誘導したならば一瞬にしてカスタマープリンシプルは悪意を載せた顧客誘導に化する。それは顧客に見抜かれ、大いなる不信感を顧客に与えることになる。
顧客誘導を善とする唯一の方法。それは誘導の分岐に必ず客観情報の看板を立てることなのだ。
多数の顧客の声、集計的客観情報、基準の提示、カテゴリーごと売れ筋ランキング表・・・・・・・・・・・。
時には自社にとって不利な点が生じたとしたら・・・・・・、それでも分岐の看板には自社に取って不利になる情報でも、客観的に顧客に知らせるべきなのだ。
自社が製品の欠点を隠そうとやっきになっても、もう遅い。
顧客による商品評価はすでに始まっている。ネットの社会では顧客は商品評価を読んでから商品選択をはじめている。顧客のレベルに関らず、善意の評価も悪意の評価も併せ含めて顧客は企業の、商品の、サービスの評価を始めている。
顧客が書く評価の一つひとつには批判の目を向けることはできても、多数の評価が集計され、Amazonの★ランク評価のように集計値には客観性が生じる。顧客はその本を買う前にAmazonの評価を読んで選択をしている。
これからますます企業は顧客からの評価に晒されることになる。
企業が自社商品の欠点を隠し、特長にだけスポットを当てて宣伝を繰り返すたびに自社の欠点はインターネットの評価基準で徹底的に暴かれる。
顧客はカタログに書かれた企業の商品特徴を鵜呑みにしないで、集計された客観情報を集め、他の候補商品と比べ最適な商品を選択する。
企業が作る宣伝コピーと、顧客の評価とに乖離があるほど、その値は不信度となって顧客に、企業に跳ね返る。
企業はマーケティングを改めなければいけない。コトラーやドラッカーは原理原則的に間違えてはいないが、時代は古典的なマーケティングを乗り越えてしまっている。
企業は徹底的に顧客を誘導する。そして誘導の基準が清潔で透明度が高く、顧客にとって有利に働く客観情報を提示する。顧客誘導を正とする唯一の基準。これが客観営業力だ。
誰がこのような社会にしてしまったのだろうか。
一つにはインターネットの発達があるが、見逃せないのは企業がこれまで顧客に対して真実の対応をしていなかったことだ。
企業は顧客を大事にしたけれど、顧客に対する原理原則(カスタマープリンシプル)を持っていなかった。企業にとって顧客は売り先であり、顧客によって育てられるとは誰一人思わなかった。
顧客は目標売上を達成するための対象にしかなかった。企業は今月の売上を実現する顧客にのみ集中して、それ以外の顧客を結果として跳ね除けていた。
だから顧客は自分で商品を選択する力を蓄えたと考えるべきなのである。これは売り込む時代の終焉と見なければいけない。店舗も、訪問営業も、ネット営業も、通販も同じなのだ。
この事態は新たなマーケティング理論を持たなければ解決しない。ドラッカーの言う「社内はコストで、価値は社外に存在する」という古典的な理論レベルではまったく解決しない事態に差し掛かっているからだ。時代は成熟化社会のうえ、メディアは分散してしまっている。
企業は大きくなり、売上を確保しなければならない。
私はこの解決方法として顧客を誘導する技術を身に着けるべきと思う。それも至急にだ。
そして誘導を悪としないためには、顧客に対する根本的な原理原則をしっかりと持っていなければならない。そして顧客が選択をする分岐には客観情報の看板を立てなければいけない。
顧客誘導には悪も善も乗せることができる。
顧客は企業の言葉を信ぜず、使用者の評価を商品購入判断の決め手にしているのだから、そして時代はますますそちらに向かっているのだから。
私はこのマーケティング理論を構築している。客観誘導マーケティングである。
この言葉は顧客誘導と客観営業を組み合わせた造語である。
とはいえ、ベースにあるのはカスタマープリンシプルであって、これなしに客観誘導技術は存在し得ない。もしもカスタマープリンシプルなく顧客誘導技術を獲得したら、企業は善意の導入判断をしても、組織の誰かが意図的に売るがために誘導したことで、顧客誘導は悪意あるものに化してしまう。その反動は企業にとって直接的に影響を受けることになる。
この理論は今の時代を乗り越える同業との最終戦と見ている。
この戦いに逃げたら企業は次第に顧客の信頼を失って、やがて企業も商品も相手にされなくなる。すべてを、本当にすべてを顧客が決める時代になっていることを企業は直視しなければならない。
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