【2011.01.14配信】
ブレアコンサルティングの服部です。本年もよろしくおねがいいたします。
12月中旬からビジネス本を出すために執筆をしておりました。原稿はほぼ出来上がりこれから修正を加える段階です。考えながら執筆を進める手法をとっていたために常に考えることが必要でした。
日本の営業は製造業の発想から生まれた量的拡大手法から逃れることができないことがいまのネックを作っているのではないかと着想いたしました。
言うまでもなく日本は、少子超高齢社会になり、併せて成熟化による商品のコモディティ化が進んでデフレスパイラルに落ち込んでいます。
マスコミはGDPが中国に追い越されて世界三位に落ちたとの論調を展開していますが、中国が13億人強で経済発展は緒に着いたばかり、人口は昨年768万人も増えています。
この中国がGDPで日本を追い抜くのは当たり前のことです。日本は中国の人口比ではわずか9%台に過ぎませんが日本は少ない人口で世界を相手にしたとてつもない経済大国なのです。
日本経済はメーカー主導で発展していきました。いまでも日本を代表する経済団体はメーカー主導です。日本はいまだにモノ作りから抜け出ることがありません。
メーカーは工場を中心にして台数を販売会社に割り当てます。販売会社は量を捌くことが目的となっています。どこの販売会社も量的手法の束縛から逃れることができていないのです。
経済大国日本が成長できないのはモノづくりの発想から抜け出せないことにあり、その理由は拡大した企業を縮小することができないと捉われて高度経済成長時代に培った古き量的手法を、新時代に合わせた新たな量的手法に向けてプロセスを変えることができないところにあると私は思っています。
経団連の第三代会長に就任した米倉弘昌氏(住友化学会長)は、企業の目的は拡大することだと持論を展開しています。
経済界のリーダーとしてはお粗末な内容で、古き量的手法から抜け出せないからこのような発想を生み出すのです。
古き量的な手法を採っているのは販売会社です。メーカーの経営者は営業が分かりません。
CSMが非常に高いレベルまで進んでいるのに比べて、SFAが日報による後付報告書、それに営業員の自己申請による案件進捗管理、そして何よりも訪問件数を母数にした確率論だけで営業員を管理し、訪問量を拡大することで量を維持しようとすることは、古き量的手法です。
高度経済成長時代では量は売上に連動していました。顧客が商品を求めていたからです。
けれども成熟化が進み、コモディティ化が進んでいる時代に、高度経済成長時代に通用した量的手法は、崩壊を始めます。
企業は新たな量的手法につながる新たな質的手法を求めて実現しない限り、米倉さんではありませんが日本が駄目なら中国へ、中国が一杯になったらインドへと安易に入手できる量を求めて彷徨うことになります。
SCC(サプライチェーンカウンシル)日本支部の話ではたしかSCMバージョンが8.2まで進んでいたはずです。工場に関係する一切のことが標準化されてどこの国へ進出するのでもSCCプロセスで成功しています。
日本企業では営業に営業プロセスが存在していない古き量的手法を求めていますので、SCMのようなプロセスバージョン管理など、SFAにもCRMにもまったく存在していません。
何故にそうなっているかと言えば、いまだにモノづくりの発想から抜け出ていないところに最大の要因があると思います。
販社も、質を追及しなければならないことが分かっているのですが、すると量が落ちるのではないかと心配をしています。
量と質は同じ次元に存在するものではありません。
質は自らの質であり、量の中にある質ではありません。量の中に質は存在していないのです。
最適経営を口にする企業家が増えていますが、最適経営はCRMとSCMをERPで括ってはじめて実現する概念です。
今年は新しい量的手法を目指すための新たな質を伴うCRM、SFAが求められるようになると思います。
私は次のように思っています。
「企業の目的は顧客価値の実現にある。その実現に向けて企業全部門は最適経営を目指さなければいけない。企業は顧客価値の実現を目標にした経営品質をステップアップさせなければいけない」この手法をマスターすれば企業は安心して拡大していくことができると思うのですが。
本年もよろしくおねがいいたします。
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