【2011.01.21配信】
企業の目的は顧客価値の実現にあります。けれども「顧客価値の実現」なる用語は企業目的として短い言葉で整理されていますから、理解できにくい用語でもあります。
そこで顧客価値の実現について整理をしたいと思います。
顧客価値の実現とは、業種に関らず企業目的を包含して使っていますから広大な内容を持ち、理解するためには自分の業種に応じて当てはめて見なければなりません。
病院や医師なら、患者の疾病を治すことが、病院や医師にとって「顧客価値の実現」になります。
製造部門の工場長にとっては生産性を上げたい、自社品質を上げたい、クレームを減らしたいなどが「課題」になります。詳細には現スペースに新しいラインを増設したい、一人時生産性を上げたいなどと細かな要求が出てきます。これらは課題となっていますが、課題を解決することが顧客価値実現となります。
ところが製造担当取締役の立場になると、顧客企業の価値実現を目的として、いかに部門での最適経営を実現するかに考えは及びます。
社長は販売部門と製造部門、管理部門を統括しますから、自社顧客価値の実現を目標として最適経営、経営品質の向上を経営理念に掲げます。
昨今のようにすべての業種がコモディティ化している状況では、顧客価値を実現することは困難だと言われています。先日もある大手ゼネコンの役員と話をした際に顧客価値の実現はぜひともやりたいことだがコモでティ化している現状で、顧客価値を見つけることも実現することもできないと吐露していました。
エレベーターもエスカレーターも空調設備も床・壁・天井も、照明設備もそしてデザインも差別化が付かない中で、価格競争になっている現状を話したことと思います。
日本企業はすべて「顧客価値の実現」を経営目標にして顧客の課題を解決する方法、すなわち顧客価値実現を見つけなければなりません。
先の工場長は、顧客価値実現と最適経営を具現化するために生産性、品質、納期を追求するのです。
最適経営とは顧客価値実現に向けて最適な形が出来上がっているかです。
経営品質も同様です。顧客価値実現に向けて最適経営を果たしているかをステップ化して経営品質を向上していくのです。すべての尺度を顧客価値実現に置くのです。企業はこの形に変えることが新たな量的拡大手法を見つける最短コースです。
多くの企業は顧客価値実現ができていません。手法が分からないのです。なぜなら高度成長時代の量的拡大手法が企業には色濃く残っていますのでソリューションの本質が解明できていないのです。
顧客が求める価値を発見し実現する手法が見つからないと最適経営も経営品質も実現しないと私は考えます。
SCM(サプライチェーン)とCRMを接続することが最適経営ではなく、顧客満足が経営品質ではありません。顧客価値の実現に向けて製造部も営業部も管理部も研ぎ澄まされているか、贅肉は削ぎ落とされ、顧客価値実現に向かっているかどうかが最適経営の姿であり経営品質の方向性であると私は思います。
私は顧客価値実現の再定義と同時に、最適経営の再定義、経営品質の再定義をするべきと考えます。経営品質はご承知の方も多いと思いますがアメリカの企業は何故日本企業に負けるのかと比較をした中で生まれ日本に入ってきた概念です。
中でも顧客満足の成功がアメリカ企業の復活に功を奏したと言われています。
私は顧客満足を否定はしませんが、満足を超えるものがあって、それは顧客の「納得」であると信じています。
満足はすぐに不満足に変わります。満足は知性の満足を感じません。納得とは情と理の納得、つまり知性の納得です。日本の言葉で言うと「腑に落ちた」です。
顧客価値実現とは知性の納得に他ならず、プリンシプルな納得が必要です。
顧客は自分が求めている価値を主観的と考え、かつ全体感のなかで整理できていません。
だからこそ、知的な納得が必要です。
知的な納得とは客観的、もしくは客観的に近い情報提示から発見されるものであり、知的な納得のうえで実現されるものです。
新しい営業理論は顧客価値実現が達成できるものでなければなりません。それでなければ企業は古き営業手法(量的拡大手法)のままで、コモディティ化した国内を乗り切らなければいけません。椅子取りゲームが始まっているいま、どの企業が残るのかは顧客が決めるわけで、顧客からすれば、どちらの会社を選ぶかは皆様には明らかだと思います。
経営者が企業価値の最大化を叫び、企業拡大を叫ぶのは間違っていませんが、顧客価値実現を可能にするプロセスを持ち、製造、営業、管理部門が顧客価値実現に向かって研ぎ澄まされていることが、何にも増して企業価値を最大化する結果になり、その体制を組織化すれば世界中どこへでもいつでも進出できる企業になると思います。
我が社が構築した新営業理論は営業部門のプロセス改革であり、プロセスを進めるために
(1)客観誘導理論と、(2)タブレット端末CRMと、(3)プロセス進捗ツール・
マジカルウエポンを持った、カスタマープリンシプルを軸とした日本的な営業理論です。
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