【2011.03.04配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
最近、情報システム会社の幹部社員と話す機会が多いのですが、共通する話題があります。
それは、システムコンサルティング部門ではまったく対応ができない上流工程の設計で生じるという話題です。顧客企業の要望は情報システム部門の知識をはるかに超えていて、とても対応できるものではなくなってきているという認識です。もっと掘り下げて聴きますと、結局はプロセス論に帰着するのです。
情報システム会社にもBPRコンサルティングを行う人たちはいるのですが、営業プロセスを再構築するためのプロセスが、現状の営業活動をトレースして整理することで終始していますから営業現場とBPRを描いた人とに乖離が出ます。この乖離をそのままにしているからいつまで経っても営業プロセスは現場からフイット感がないと指弾されます。
またBPRを描く人が製造プロセスのリエンジニアリングを得意にしている人だと、メーカー発想、上から目線でプロセスを描きますので、顧客視点のプロセスにならない欠点が生じます。
ご存知のとおり、プロセスとは手順、過程と和訳されています。どの部門でも組織がアクションをする時はプロセスを必要とします。プロセスがなく、勝手な方法で営業員が動き始めたら、収拾が付かなくなります。分かりやすい例が軍隊です。軍隊は明確なプロセスとプロセスアクションを持っています。軍隊が新兵に教える始めのことは自分の考えを捨てて上官の命令に従うことです。
緻密なプロセスとアクションを秒単位で管理し、アクションを可視化してコントールしていくのが軍隊の指令本部ですが、自分の考えで各部隊が動きを決めたら、それは大きな犠牲を生じることになります。ですから組織はプロセスを必要とし、プロセスは現場の活動と符合するプロセスとアクションを選定せねばならず、プロセス論、PARTチャートなどは、戦争戦略を元に生まれたわけです。
日本の営業がプロセスを重要視しないのは、国が島国であることや、勤勉であること、企業への帰属意識が強いこと、組織が団結して助け合って事に当たることなどの民族的な背景が強いことが最大の理由ですが、こうした考えがグローバル社会を迎えて通用しなくなったことが挙げられます。
日本でも国際展開する企業が英語を社内公用語にしていますが、多国籍の人を雇用すると英語だけが共通になるのではなく業務プロセスそのものを公用化しなければならないのです。
日本はいまだに、語らないところで親しくなるとか、あいつはオレの気持ちを分かってくれるなどという暗黙の了解を尊びます。
オレの目を見ろ。何にも言うなという歌もありますが、こんなことを言って仕事の伝達が通用する民族は日本人と、後はどこの国民でしょうか。
もう一つプロセスを大事にしなければならないことがあります。プロセスが見えることは重要ですが、見えても仕方がないプロセスを見ても仕方がないのです。仕方がないとは次の一手が分からないという意味です。
いま、多くの企業が持っているプロセスは最適なプロセスでしょうか。私ははなはだ疑問に感じております。
プロセスを重視していないから、それで通用していたのですが、まもなく企業は最適な営業プロセスを何よりも必要とすることに気づくと思います。
プロセスを変えることは営業の形を変えていくことですから、ステップが必要ですし、今日変えて明日から施行するというわけには行きません。SFAそのものも変えていかなければなりません。大掛かりな改革が必要になります。
話は冒頭に戻ります。企業が営業プロセスを変えなければいけないと感じてきたことは確かな動きです。繰り返しますが、プロセスの結果が成果なのです。
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