【2011.03.11配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
日本企業が停滞をしている間に韓国企業や中国企業が急速に成長をしている様子が報道されています。日本は内向きになっていることが世界中から指摘されていることも事実です。
私はプロセス改革の観点から、あるいはCRM(SFA)の観点から企業とお付き合いをしていますがいくつかの共通点が明らかになっています。
一つはどの企業も高度経済成長時代の手法から脱却できていないことです。
歴史的に振り返るとよく分かります。
高度経済成長時代は企業も製品も成長を遂げた時代でした。造れば売れる。製品は年々技術進歩を遂げてよくなる。顧客企業も成長をしていましたから次々と製品を購入する。
このような時代でした。ですから訪問件数と受注件数は比例をしていた時代でした。
やがて成長が鈍化しますと企業は売る技術を造っていきました。これがマーケティングです。
マスメディアを使ったコマーシャル、各種イベント、訪問計画、訪問スケジュール、訪問件数などは、この時期に作られていったわけです。
日本の企業は、成熟社会に適合したビジネスモデルに変えていかなければならないのですが、成長が鈍化してきた時代に培った手法を管理強化することで今日に至っていることがどの企業にも共通しているのです。
日本企業の共通点を見出すと
(1)成熟化している国内市場に適合するための投資を抑えてコスト削減で利益を出すモデルに徹している。
(2)高度経済成長時代に培った営業手法を精緻に展開し管理強化をすることで対応をしている。
(3)成熟した市場に適合したビジネスモデル改革(営業プロセス改革)が実現できないのは今のモデルを新しいモデルに変革した場合にいまの売上を確保できる保証が担保されないので踏み切れない。
(4)現状のモデルは量的拡大をとるベストプラクティスであると思っている。質的充実はベストプラクティスになり得ないと確信している。
(5)現状のモデルで展開できる新たな市場を中国、ベトナムなど新興国に求めようとしている。
以上が大まかですが浮かんでくる共通点です。
それではすべてがそんな企業でしょうか。
そうではありません。
プロセスの結果が成果であると信じている企業の方々は営業プロセスを変えなければならないと考えております。
そしてプロセスの目的を顧客の価値実現におこうとする動きが活発に起こってきております。
我が社ではつい最近、顧客のその先の顧客の価値を実現することを目的とした某大手メーカーのプロセス改革に取り組みSFA化いたしました。
B2b企業では、bに販売することばかりを考えておりますが、顧客先b企業にはその先にC企業、もしくはCカスタマーが存在しています。
Cにとっての価値実現を提供するB企業であらねば成熟社会では生きていけないとするのが、こうした理念をビジネスモデルに変換してプロセス改革をする企業の考えです。
業務を改革することは体制を改革することではなくプロセスを改革することです。
戦争によってプロセスや戦略が作られました。例えば有名なPARTチャートは、プロセスを合理的に展開するために作られていますが、元はアメリカ海軍で作成されたものです。
戦争には戦略も体制も必要ですが、もっとも重要視するのはプロセスです。業務はプロセスで成り立っています。プロセスの結果が成果だからです。
日本企業はプロセスを無視しすぎます。韓国企業のある幹部は日本企業にはプロセスがないことを指摘します。韓国の大企業の例を彼は挙げましたが、有力な案件、確保すべき優良企業の技術があった場合には、緊急のプロセスを動かして即決定できるプロセスがアクションも含めて出来上がっているが、日本企業は役員会で決定するにしても役員会に諮るためには、全部門長の決裁が終了したものでなければならないとするプロセスしか存在しないために、いつまで経っても日本企業は結論を出せないと指摘をしています。
顧客の価値を発見するプロセスがなく、実現するためのプロセスもなく、ただ高度経済成長時代に培った営業手法を精緻にかつ管理強化して実行することが、いまの日本企業の営業手法であるとすると、椅子取りゲームが始まっている成熟社会に生き残ることができるのでしょうか。今の手法を中国やベトナムに展開し続けることができると思うのでしょうか。
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