シナリオをシステムに搭載すればシステムが自動的にシナリオに則って展開をする仕組みは、皆無ではなかった。簡単なシナリオを搭載できるシステムは存在した。金融業界を対象にしたプログラムを書かなくてもプログラムができる名目でシナリオを搭載するような仕組みはあった。
しかしながらシナリオを描いて、シナリオをシステムに実装し、マーケティング上の目的を達成するようなコンセプトで制作していないがために、搭載できるシナリオは幼稚なものであり、我々の目から見て汎用的に使えるものはほぼなかった。
なによりも顧客データベースを基としてマーケティング上の目的を、シナリオを描いて実現する発想がなかった。シナリオをマーケティングで展開するにはマーケティングを熟知した人が描く必要があって、(そのようなマーケッターは存在しないがために)それが一層シナリオを描いてマーケティングを展開していくことの実現を遅らせていた。
我々は、顧客を育成するにはシナリオを実装するしか方法はないと判断したのはデータベースマーケティングのもつ矛盾点に我慢ができなかったからである。
データベース分析で上位20%の顧客で80%の売り上げを達成していることを証明することができて、その顧客は誰であることがわかっても1年後に上位20%の顧客を抽出すると、昨年の上位顧客のうち40%は離脱している。RFM分析で最上位5・5・5の顧客は一年後には80%以上が入れ替わっている。
企業は常に上位20%に位置する顧客に対して販促資源を使い、RFM最上位のセルに存在する顧客にのみ販促資源を費やしている。
多くのCRMパッケージが顧客育成をお題目にしているが実際に、データベースマーケティングのシステムしか搭載していないのだから顧客育成を実現できるはずがなく夢物語に過ぎない。
顧客を育成するには、例えれば顧客育成槽に育成するべき条件が整った顧客を入れて、顧客育成槽で育成をしていく。育成槽にはレベルやグレードを設けて、どのように育成したかを計測し、さらに育成の手法を個別に変化発展させていく、ここをすべて自動化しなければ(人の手でやったのでは)出来得ないと結論に至ったのである。
シナリオを展開するには広大で精緻なシナリオを描いていかなければならない。自動化しない限り(人力では到底やれないから)例えば顧客育成に必要なたくさんのシナリオを描いたとしてもそれは絵に描いた餅になってしまう。
シナリオの自動化はマスト(MUST)である。
さて、BREALOGICを使用している企業の例では、これまでデータベースマーケティングを展開している例だが、販売員がデータベースを開けてガイドに基づいて顧客を抽出して自分でRSツールを考え、印刷し、ラベルを貼って郵送するDMを作成することが月次の日常業務となっていたが、昼間は接客業務があって、残業でデータベースマーケティングを展開することとなっていた。
この残業時間(残業代とリンク)を100とすると、BREALOGICを導入した後、残業時間は10になってしまった。90%削減である。
人力では到底出来得ない広大で精緻な顧客創造・顧客育成のためのワン・トウ・ワンマーケティングシナリオをこれまでの残業時間の1割で実現できたのである。
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