日本に導入されているアメリカ製のSFAはそもそも、在宅勤務者が会社に自身の営業活動や業務の進捗を報告するために作られたものであるから、顧客の心を動かすなどの概念は当然ながら含まれていない。
日本発であるかのような「プロセスの可視化」も、要は数値化すれば可視化できるのは当然なことである。可視化できれば次には上司が部下の行動を管理する道具としてはうってつけであり、可視化、見える化は多くの場合、部下の管理に使われているのが現状である。
しかし、SFAが本格的に日本に登場してから約5~7年間にわたるSFAに対する取り組みは、ものの見事に失敗に終わった。
それはSFAを販売したITベンダーも導入企業も異論はないところである。
同じことは店舗CRMでもいえる。
それまで顧客抽出手法の王道といわれていたRFM分析も、もともとは1930年代に通販業界で編み出した関係切断顧客を発見する分析方法であることが露呈してきている。
関係を切断するための分析方法としては秀逸なRFM分析であるが、顧客と関係を深め、売上げを上げる分析手法としては最悪と言ってもよいくらいの悪い分析方法なのである。
そのことが企業にもわかり始めてきている。
プロセスを契約に向かって進捗させるためには、顧客の心を動かさなければいけないわけで顧客の心を動かすようなことは、企業はこれまで営業マン力としての暗黙知であると考えてきた。
私達は、これをマーケティング理論と、ITと、リレーションシップ手段で形式知化した。まったく別な観点から顧客の心を動かす手法として成立させたわけである。
私どもが手がけた「自動車メーカーの販社における既存顧客に対するリピート率向上施策」では、BREA理論に基づき素数プロセスを進捗させる手法でRSツールを制作し、既存顧客にDMで配送した。
なんと、10人の営業マンがいる1拠点で、DMを見て反応をした顧客から電話、メール、来訪が、DM配送後ちょうど1週間の現在、約400件。案件発生が45件、しかも顧客からのアプローチなので成約率は高いと支店長は言っている。
こうしたことはITを導入しただけでは実現しないのである。
次世代CRMは顧客との関係強化を軸として、契約を実現できるSFA、LTVを実現できるSFAでなければならないとする考えが、企業から巻き起こっているのが現実だが、いつまで在宅勤務者が本社に報告するようなSFAの導入を検討していたのでは、いつまで経ってもCRM-SFAは成功にたどり着かないのである。
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