顧客ターゲティングとは、日本的にいえば料亭の女将が「この顧客はうちの常連になり得る顧客かどうかと見抜き、定めること」と同じである。
だから大事なことは定義したら終了してしまうことでなく、アクションを伴って実行することとセットになった定義ということである。
このリストに掲載された顧客は優良顧客です。はいおしまい。ではなくて、この顧客を育成する顧客ですというからには育成の定義、育成モデルの創案、育成の手順、育成のシナリオ、育成の方法、育成のツールが必要になる。
これらと顧客ターゲティングとは一セットにしなければならないのである。
日本はデータベース分析から一歩も脱出していない傾向が強いので、マーケティング戦略の参考資料として「事実提示」が一般的に行なわれている。
例えば現場ではこんな場面に出会う。
「これこれこうです。この時期ではこの人が優良顧客です。したがってターゲティングとはこの顧客たちを指します。ただしこれはデータ分析上の話で実際どうするかはわかりません」データ分析をする担当から「優良顧客とは何か」を聴くとこんな答えが多く返って来るのは、データ分析手法が一歩も改革されていない ことの証明である。
こうした考え方しか企業にはなく、反論するにも反論に値する情報がないのが一因かも知れないのだが、ここに日本企業の顧客マーケティングの稚拙さがあるわけだ。
顧客ターゲティングは誰をお客と定めるのかを決める重要な作業である。
特にB2Bビジネスを展開している企業にとっては、限られた人的資源で効率的な営業を行なうために戦略の要になる。
流通業は、店を開ければ顧客は来る。来たお客を差別できないから売場では平等に扱う。
一方、ゴールドカード顧客を優良顧客とするとだけ定義すると、ゴールドカード顧客には驚くほどのDMが毎日のように届くことになる。
顧客ターゲティングと、顧客育成の定義、顧客育成モデル、顧客育成シナリオ、顧客育成手法、顧客育成のためのツールがセットとして考えられていないから、混乱するわけである。
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