【2008.02.22配信】
これまでLTV(生涯価値)は、理論マーケティング上の概念であり、到底実現できるものではないと決め付けられていた。
そもそもこの用語がビジネス界に良く知られるようになったのは1995年に発売されたワントウワンマーケティングからである。
それまでLTVという概念すらも一般の人には理解されていなかった。
ワントウワンマーケティングの価値がLTVの実現であるとなったのは、このマーケティングの対象が顧客であったからである。
それまでと言えば、顧客とは不特定多数の存在であって、顧客は誰でもよく耀は商品が売れさえすればそれでマーケティングは完結したわけである。
企業はマスメディアを使って不特定多数の人に商品を告知した。当時は、人々は商品を購入することが豊かさの実現方法であったから、競って商品を購入した。大量生産大量販売の時代では顧客は誰と問わず、商品が数多く売れる施策で企業は拡大した。
だからLTVは存在しない理論上の概念としか存在していなかった。ワントウワンマーケティングの本が売れようと、認識はその程度であったわけである。
しかし顧客ケアマーケティングを展開した暁には、LTVは実現できる。
言い換えれば顧客ケアの成果がLTVの実現ということである。
顧客はケアされている間だけ、ケアしてくれる店を利用する存在である。こう定義をすれば今まで見えなかったことが見えてくる。
顧客ケアは分析手法でもなく見える化でもなく、顧客にケアのアクションをすることである。アクションを起こさない限り、顧客の心は動かない。心が動かない限り顧客はアクションを起こさない。
これまで、小売業はデータベースマーケティングが売り上げを伸ばす唯一の拠り所として信奉されDMを発送して来た。しかし顧客抽出方法はセルにだけ優良顧客と名前を与え、実際の顧客には紐付けていなかった。だから顧客に送付するDMは常に的外れであった。
満腹な顧客にだけ次々と商品を薦め、買わなくなると次に買う時期にはまったく商品案内を送らなくなった。
営業マンもそうであった。フォードの販売理論があって企業は販売生産性を求めるばかりに、納品したら次の顧客に売り込みをすることを求めた。フォードの販売理論は大量生産大量販売時代に役立つ理論であって、いまは完全に時代遅れの理論となっている。
いまの時代からみるとフォードの販売理論は売りっ放しの理論であることがわかる。
いずれもLTVの存在はない。だから企業のマーケッターは嘯く。
「LTVは理論上の概念で、実現するはずがないと」
LTVは顧客ケアの間だけ実現する現実の概念である。物が溢れどこでも買える時代、家の中に家財が溢れ、タンスの中には衣類が溢れ、靴箱の中には靴が溢れている時代に、顧客はどこから何を買えばよいのだ。
顧客を正しくケアしてくれる、心地よいケアをしてくれる。顧客はそんな企業や店が生まれれば、そこの店から買うのである。
だからいくらでも繰り返す。LTVは顧客ケアの成果として現実に実現すると。
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