【200806.13配信】
ある経営者から話を聴いた。しかし私達が常日頃から主張していることと非常に近い話である。
「いま、日本はとてつもない閉塞感に襲われている。その理由はたくさんある。政治が不安定である。高齢者保障が制度的に隔離された。円高である。原油が高く物価が高騰している。しかも賃金が上がらない中でのインフレである。地球温暖化が顕著になっている。四川地震のような大地震が日本にも襲ってきてもおかしくないと思っている。
かつてない大事件が次々と起こる。こうした閉塞感があっては人々の気持ちは萎縮してくる。当然自己防衛に走るしお金は使わない方向に進む。これが日本の現実である。
しかし、一つだけ解決方法がある。それはエモーションである。商品を買って得たことによる喜び、楽しさ、うれしさ、安全、安心、そのエモーションを高揚させることである。
それはエモーションをケアすることで実現する。そのことによってのみ閉塞感を打破することができる」
私はこう思う。
エモーションは一時的なものである。エモーションは「情」であり、「理」ではない。
心の高まりや心の満足は永続しない。そこでエモーションをケアすることが必要である。
エモーションのケアは「理」で行なわなければいけない。なぜ凄いのか、なぜうれしいのか、なぜ楽しいのか。なぜ安心なのか、そこを科学的に解明してそれを、メディアを使って伝えることである。
メディアはマスメディアもあるし、顧客をケアするためのワントウワン・メディアもある。
紙媒体もあるし、インターネット・メディアもある。電波もある。DMもメディアだし、Eメールもメディアである。HPもメディアだし、ブログもSNSもメディアである。
こうしてさまざまなメディアを使って顧客にエモーションを解明して伝えることだ。
顧客は自分のエモーションが「理」で、説明されることにより初めて確信する。私は間違っていなかったのだと。この商品はやはり本当に素晴らしいものであったと。
私達はこれを顧客学習という。顧客に学習を促進するのだ。これこそが顧客ケアの真髄である。
ちなみに当社の社名BREAとはビジネスプロセスのB、リレーションシップのR、エモーションのE、顧客購入プロセスを確認するASKの頭文字をとっている。
エモーションは理に添えるものであることが本筋であるが、いまはエモーションが先になってきた。つまりエモーションに理を添える時代になったのである。
建国に燃えた青年僧侶のような奈良時代が終えた後、おどろおどろした平安時代になった。
末法思想がはびこり魑魅魍魎(ちみもうりょう・・さまざまなばけもの)が跋扈した。
いま、日本の閉塞感は末法思想と似通っている。地球温暖化によって生き物の終わりが見えてきているし、高齢者になった後の処遇も見えている。物価は上がり年金暮らしの人にとっては、暮らしにくいを通り越して生きることさえ困難な時代になっている。
これまでの高度経済成長は物質的には豊かになったが精神は病んでしまった。一度フリーターになってしまえば月並みの収入を得ることはできない格差社会が出来上がった。まさに平安時代の末法思想と現代は同じ状況である。
ここではエモーションが優先する。エモーションには陽のエモーションと陰のエモーション
がある。
私達は陽のエモーション、つまりは商品を使った喜び、楽しさ、うれしさを「理」でケアしていくことが閉塞感を打ち破る最大の手法となる。
顧客ケアマーケティングは時代に適合したマーケティング手法なのである。
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