【2009.03.27配信】
ブレコンサルティングの服部です。
楽天ポイントクラブについて私なりの解釈で説明をしたいと思います。
楽天ポイントクラブの詳細は検索してご覧ください。
簡単に説明しますと獲得ポイント数と獲得回数で会員ランクが決まり、限定特典が得られるサービスです。
システムの根幹となる思想はRFM分析です。サービスの根幹となるものはFSP(頻度の高い顧客を優遇するプログラム・・フリークエント・ショッパーズプログラム)の考え方です。
私なりの解釈になりますから、異論もあると思いますがお付き合いをお願いいたします。
カスタマープリンシプル(顧客に対する根本的な方針)を明確にして宣言しかつ対応の仕方を明確に見せています。当社はRFM分析(といってもエンドユーザーは分からないので)直近購入日、購入頻度、獲得ポイントで顧客を識別して特典を差し上げますとする宣言をおこなっているわけです。具体的には次の通りです。
楽天スーパーポイントを獲得するとレギュラー会員になれます。
200ポイントかつ半年に2回以上利用するとシルバー会員になれます。
700ポイントかつ半年に7回以上利用するとゴールド会員になれます。
2000ポイントかつ半年に15回利用するとプラチナ会員になれます。
プラチナ会員を1年間キープすると豪華特典が得られます。
会員を1年間キープすると言う意味はわかりにくいでしょうから説明を致します。
まずプラチナ会員の要件は2000ポイントを獲得してかつ半年に15回購入した人がなれるわけです。例えば私は1900ポイントで13回購入していたとします。あと100ポイント分購入を2回で達成すれば翌月はプラチナ会員の基準に達成するので私は100ポイントを2回に分けて購入しました。私はこれでプラチナ会員になれました。
プラチナ会員の要件は毎月審査されます。15回購入してようやくプラチナ会員になれた私は、安心して翌月購入しなかったとします。すると翌月の審査で過去半年に200ポイント、15回の基準にはならず1年間キープ対象期間には、入らなかったことになります。
つまり1年間プラチナ会員をキープするには、毎月の審査で常に過去半年間2000ポイント、15回以上購入し続けなければならないことになります。
おのおのの会員ランクは上位ランクへ移行しても会員ランクの要件を満たしていなければ下位に落ちます。6ヶ月前の2日から当月1日の間に付与されたポイントが評価の対象となります。但しポイントを消化しても評価の対象とはなりません。
特典を見るとポイント付与が目立ちます。
レギュラー会員はポイント2倍優待キャンペーン。
シルバー会員はポイント5倍優待キャンペーン
ゴールド会員はポイント10倍優待キャンペーン
プラチナ会員はポイント10倍優待キャンペーン
メルマガは
レギュラー会員は会員向けメルマガ(お買い得情報)
シルバー会員はシルバー会員向けメルマガ(お買い得情報)
ゴールド会員はゴールド会員向けメルマガ(お買い得情報)
プラチナ会員はプラチナ会員向メルマガ(お買い得情報)
ゲームとしては
シルバー会員はシルバープライス(スロット懸賞)
ゴールド会員はゴールドプライス(スロット懸賞)
プラチナ会員はプラチナプライス(スロット懸賞)
福引は
ゴールド会員はゴールドボーナス福引
プラチナ会員はプラチナボーナス福引
マンスリー倶楽部(売り切れ続出セット販売)
ゴールド会員向けマンスリー倶楽部(売り切れ続出セット販売)
プラチナ会員向けマンスリー倶楽部(売り切れ続出セット販売)
プラチナナイト倶楽部は(夜間激安タイム)
プラチナナイト倶楽部
プラチナ倶楽部1年キープで豪華特典
以上が特典です。
特典を言い換えれば顧客を区別して対応を変えますという対応内容のことです。
次から私の解釈による評価になります。
楽天ポイントクラブは百貨店や航空会社のマイレージサービスより、はるかに手が込んだポイントシステムと言えると思います。
内容は、顧客を巻き込んで、射幸心やゲーム感覚で上位ランクに顧客自らが上がってもらおうとするため、若者や女性向きには面白い販促だと思います。
圧倒的な数の顧客を持っている小売業がわずらわしさを捨てて、一括しておこなうマス戦略であり、手が込んだポイントシステムであって、持続した利益を獲得する企業の宿命的課題を解決するための施策ではなく、結果としてゲームに参加している間だけ有効で、このゲームに飽きたらそれでお終いという気がします。
高度経済成長時代に、いけいけで考えた商品販売促進手法に分類される手法です。
成熟社会における少子高齢社会を迎えて確実にパイが小さくなっていく時代に、企業が顧客をビジネスの中心に据えて人、物、金、顧客の経営4要素で新たなパラダイムを構築しなければならないときに、ネッビジネスだからといって、ゲーム感覚や射幸心で、顧客がポイント特典を得たいばかりに次々と商品を買い続け、企業はこの手法で顧客をつなぎ止めることができるのかという疑問は残ります。
また特典とは顧客に対する割引だけですから、顧客が特典を利用するほどに値引率が増えて利益が下がる販促システムです。
顧客との関係性を無視してこれからの存続はあるのかとする議論はあったのでしょうか。
企画段階ではいろいろな施策やサービスを付記することができますが実際に運用となると、これらのコストはすべて固定費+変動費になり収益を圧迫します。
多くの商店街やカード会社がポイント負債の重さに耐えかねてポイント制度を廃止し、あるいは特典を極端に減らしているところが続出していることは皆様ご周知のとおりです。
ネットですから顧客の射幸心をあおる、(あと○○ポイントでゴールド会員になれます)ことはバンバンと、どぎつくやれますから、乗ってくる顧客はいるでしょうが、特典の多くは割引ですから、顧客は購入しなければ割引特典の恩恵はでません。
このポイントシステムの本質はRFM分析で組み立てられていることです。たくさん買えば買うほど割引率の高いクーポンを配布し、さらに買い続けさせる仕組みは、デパートがおこなっているたくさん買った顧客にセールやプロパーの案内DMを送り続けることと違いはありません。
買い続けなければ会員ランクは下がり、特典として付与される割引クーポン率は下がっていくとしたら、顧客は気持ちよく下がった割引クーポンを使って同じ店舗から買い続けるでしょうか。
リアルの店舗なら同じ店から購入しないでしょう。日本でFSPがなじまなかったのは、ここに原因があったのです。
顧客と直接に顔を合わせない、おそらくリアル店舗で小売業の経験がないネットビジネスをやっている人たちが考えそうな手法だと思います。
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