【2009.04.03配信】
ブレアコンサルティングの服部です。東京もようやく桜が満開になりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
春は人事が一変される時期ですが、転職されても引き続き新しい勤務先から本メールマガジンをお申込いただいております。ありがとうございます。
さて、ある大企業メーカーでは、販社のプロセスについて悩んでいます。
いくら営業プロセスを構築しても販社に導入すると違うと否定されるからです。私も実際にこの会社のプロセスを拝見しましたが、確かにこれは違います。これが営業プロセスだと言われても非常に困るという販社の意見はもっともです。
しかし考えているメーカーの人たちは、一日中社内で議論して決めた自信作です。それが販社に持っていくと違うと言われる。営業担当者に使わせてみてくれと言って、実際にテストをやるのですが、全然違うといわれる。どう違うと言われても販社には正解はこれだというものが出せませんから、結局のところ球はプロセスを考えるメーカーの部署に答えもなく戻される。これを繰り返しているのです。
私からみると答えの出ないところで答えを出そうとしているところに問題があると思います。
数学では公理があって、公理に基づいて問題が出ます。回答する人は公理にしたがって問題を解くから回答がでるわけです。
この観点から語りますが、SFAの導入目的は何なのでしょう。社内で決めた業務プロセスの進ちょく状況が見えればよいのでしょうか。それなら簡単です。これは違うという販社の意見も反対もないでしょう。業務プロセスの進ちょくが見えればそれでよいのですから。
しかし先の例では販社は違うというわけですから、別のことを求めていると思います。
販社は、売上げを伸ばしたい、案件の受注率向上を図りたい、リピート率を上げたい、顧客と関係を深めたい、できれば次の一手をガイドしてもらいたい。それらを導くSFAが欲しいと思っているのであれば、社内プロセスが見えるだけでは何の意味も持たないわけです。何を求めているのかを明確に定めないといけないわけです。
現状のSFAには公理に当たる理論を持っていません。だから販社や営業部が真から求めるSFAの形、ここでは公理のようなものを確立することが重要です。ところがこれは残念ながら情報システムコンサルタントの仕事ではないのです。
よくシステムやパッケージの名前を出して、どれがよいとか悪いという言い方をしますが、これは間違いです。パッケージによい悪いはありません。
いま、SFA構築に求められているのは、上流工程における公理の定義なのです。
多くの販社は、社内向け業務プロセスを可視化できても意味はないと思っています。
この考えは正しいです。
行動をITで管理すれば様々に分析できます。分析したことは可視化できます。
例えば行動を分析した結果、1と2が見えましたでは意味はないのです。答えが3ですでも意味はないのです。販社が本当に見たいことは、1と2が見えたことによって10に至る道筋です。つまりプロセスの目的とする受注に至るこれからの道筋を見たいのです。
その答えを出すためには公理が必要です。
販社がSFAに受注率を高めたい、リピート率を高めたいと言うのであれば、受注率を高め、リピート率を高めるためのマーケティング活動をすべて構築して、それらをまずはシステムを使わないでやってみて、修正をし、これで販社がOK、これなら行けると踏んだところでシステム化するのです。
いまはプロセスだけを触っています。つまり群盲象をなでることをやっているのです。
先の大手メーカーも販売プロセスだけを考える部署があって一年中、プロセスだけを考えているわけですが、これでは販社の求めるゴールには永遠に行き着きません。答えが出ないところで答えを出そうとしているからです。
もう一つ大きな問題があります。社内向け業務プロセスを中心とした一本の軸に、営業部の活動すべてを押し込めようとしている誤りです。
一本の軸に営業活動すべてを含めることは不可能なことです。絶対につじつまが合わなくなります。営業活動にはいろいろな軸があるのです。それらは複雑に入り組んで関係付けられています。一本軸で納めようとしているところに答えが出ないところで答えを出そうとしている二つ目の要因があります。
多くの企業がSFAを何回も失敗して、結果として結果はプロセスの成果であるという境地にたどり着いている方がいますが、SFAにおけるプロセスとは営業活動すべてであり、しかも顧客という人間を相手にしている業務であるわけですから、頭がよいだけではなく、経験や、1と2を見て10にたどり着く途中プロセスを創案できるような発想力の豊かな人たちが、営業をよく知って構築しなければいけないのです。
別のある会社は、営業担当者の行動基準と枠組みを作って、それをSFAに搭載したため、非常にうまく行ったと聴いていますが、成功したのは行動基準を作成してこれをパラダイムとして営業に実行させたからなのです。行動基準の枠組み。これを正しいやり方だと定め実行させたから成功したわけです。行動基準の枠組みにこれが正しいやり方だと命を吹き込んだからこそ、この会社が定めた行動基準の枠組みはここでいう公理になったわけです。
コメント