【2009.11.06配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
今週は、カスタマープリンシプルとは外れたテーマです。
最近、アメリカが凋落して中国が世界の覇権国になるとの論調が増えてきました。中でも副島隆彦氏は2012年にアメリカ発の大恐慌が来る。中国は二束三文でアメリカ国債を売り叩くなどと書いた本が売れています。ネットでは2012年に世界は大恐慌を迎え経営活動は終焉するような記述もアップされて、不安感を募っています。
アメリカや中国で幅広く事業を営む知友に意見を求めましたら次のような返事がメールでありました。ご本人から掲載の許諾をいただき、ここに紹介させていただき、皆様と共有を図りたいと思います。
アメリカは凋落するのか。中国は覇者になるのか。
アメリカが金融工学と立派な名前がついているものの実態は詐欺にも近い代物で、レバレッジを効かせ過ぎた分については、そのツケを支払わざるを得ないと思います。
現在は国家の体裁を整えるために、ひたすらアメリカドルを印刷して国債を中国、日本、サウジアラビアに購入してもらって保っております。
さて、中国は完全にアメリカの喉元にナイフを突きつけております。
以前中国は、軍事力でアメリカには敵わないと考えていましたが、いま中国とアメリカが戦争をしたらアメリカは負けると言うシミュレーション結果が出ており、中国はまったくアメリカに遠慮をする状況ではありません。
唯一、太子党と言われる共産党ブルジョアグループが、資産をアメリカドルでしこたま持っているため、彼らはアメリカドルを買い支える方向であることは間違いないことだと思います。
中国がアメリカに変わる覇権国となるか?ですが、私はスペイン=>オランダ=>英国=>アメリカと移行した白人世界の覇権国とは違った形で、中国は世界で最大の影響を誇る国になると思います。
白人覇権国の世界は一言で言えば『搾取』の世界です。
覇権国は従属する国から徹底的に搾取をするシステムをその中に埋め込みます。
中国は今までの覇権国のような露骨な搾取な構図は取らないと思います。その意味では『覇権国』と言う言葉は適切ではないかもしれません。彼らは現在持つ、また今後更に拡大する資金力及び人力(数と質の両方)を活用し、世界の多くの国々に影響力を発揮してゆきますが、その影響力は今までの覇権国とは違い、『優位に物事を運ぶシステム』では無いかと思います。
イデオロギー、価値観などの押し付けはせずに、経済的合理性において共存をしながら、自他共に認める横綱の位置を確保してゆくのではと思います。
かつて私は中国人の優秀さとハングリーさを目の当たりにして、中国人の強みは何だろうと強く意識しました。しかし当時はまだまだ彼らは世界の中ではこれからとの意識でした。
それが今、中国人は明らかに自信を持ってきています。この違いは今後大きく結果として出てくると思います。
一方アメリカがこのまま凋落してゆくのかは、もっとも興味と関心を持っているところです。
一つの崩壊のシナリオは、先に述べたアメリカ国債の購入を中国が止める時です。この場合、アメリカは国内で資金が回らなくなり、ドル安、ハイパーインフレの大恐慌が起こります。
アメリカ政府はデノミを宣言するかもしれません。
しかしこのシナリオはまだまだ足元を固める必要がある中国にとっても多いに痛みを伴いますので、このオプションは取らないと思います。(中国の国内不動産は、はっきり言ってバブル状況ですが、バブル崩壊を中国政府は面子にかけてさせないと思います)それに前述した太子党と言われる連中の思惑が影響を与えます。
よって一番あり得るシナリオとしては、中国がアメリカを買い支えながら、アメリカは国内の建て直しの時間を取られ、他の国への影響力を少しずつ減らしてゆくのだと思います。
その時にアメリカとしての強みとして残るのは、教育システムと自由な精神で、この部分がまだ優秀な人を引き寄せることが出来れば、次のInnovationがアメリカから起こる可能性はあります。
また私が一番期待するのは、アメリカ人が本来持っていたはずのHospitalityとGenerosityの復活です。金融工学のMoneyゲームは終わりにして、実体的価値と精神的価値の復活だと考えます。
少なくとも私はアメリカがそのようにシフトしてゆくことを望んでおります。
以上
知友は今回、オバマ大統領がアジア諸国を訪問することについて、真の目的は中国とアメリカで世界の覇権を握ろうと企てる新たな世界戦略構築にあると喝破しています。
政治も経済も何もかもが世界レベルでパラダイム転換期にあります。日本のメディアは、アバマ大統領に、原爆被災地を訪問すべきだと論じていますが、言い換えればベトナムがアメリカ空爆被災地跡を訪問すべきだと言うのと寸分変わらぬ主張です。
政治にも企業にもモノとヒトの2面性があり、どちらを主体的に捉えるかで、その後の世界観が変わります。政治も経済もそして企業も今から未来をどうするかが大事です。
私が知友の話を聴いて学ぶことは、私は企業経営を担っているファシリテーターとして、時代背景を的確に捉え、今から未来にかけた経営理論と実際を構築し展開するべきとのいましめです。
モノにもヒトの心にも二面性があります。このバランスをとることが大事です。
話をカスタマープリンシプルに変えます。
確かなことはこれほど成熟した日本社会では、企業も個人も価値を実現できるかどうかが唯一問われることです。モノの価値とはスペックの価値です、ヒトとの価値とは関係の価値です。今の時代は、モノは成熟しつくしてスペックの価値はなかなか競争優位になりません。電気自動車もハイブリット車も製造や販売を独占している間は競争優位に立ちますが、各社足並みが揃えば競争は同列になります。カスタマープリンシプルでは関係性の価値を「顧客との対話」に求める手法をとっておりますが、残る価値は顧客との関係深化です。この手法を構築した企業とそうでない企業とは、大きく格差がつくことは明らかです。
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