【2010.08.20配信】
ブレアコンサルティングの服部です。残暑お見舞い申し上げます。
DOは、PDCAサイクルのDOで、営業活動のことです。
営業活動には社内にいて訪問準備をすること、関係部署と調整をすること、移動をすること、顧客に会うこと、関係を深めること、案件を発見すること、案件を獲得すること、契約後の打ち合わせをして社内関係部署に伝達すること、納品・検収に立ち会うこと、次の受注を目指してケア活動を行うこと、営業活動を社内報告すること、会議に参加すること、クレームに対応することなど、実に多種多様の業務がありますが、営業部に与えられた権限と義務とは、顧客と会って案件を発見し、案件を獲得することに尽きます。
この権利と義務を放棄したら営業部の存在意義はありません。営業部門は全神経を集中して受注の獲得に全力を上げているのです。
受注を獲得するプロセスは時代とともに変遷を遂げています。高度経済成長時代には企業は年々成長し、製品も改良を重ねて毎年新製品が出る勢いでしたから訪問してカタログで説明をすれば容易に購入してくれる時代でした。
いまはどうでしょうか。成長は萎え、製品は成熟化しコモディテイ化しています。訪問しただけでは案件は発生しません。企業は時代の変遷に合わせてDOを見つめ直さなければなりません。顧客と関係性を深めて、顧客が抱える課題や求める価値を発見して、案件獲得を実現するプロセスが、全営業プロセスのキングオブプロセスと言われるゆえんはここにあります。
DOの本質を追究し余分なものを削ぎ落としてみると次のようになります。
・顧客と関係を深める
・顧客が抱える課題、求める価値を発見し顧客と共有する
・課題解決のための客観情報を提示する
・客観情報を実現する提案をする
・提案したことによって新たに生じた課題を共有する
・客観情報を提示して解決する
・さらに付加価値を提示する
・受注をする
DOは営業員が行うものです。
日本はモノ造りの国として発展を遂げてきましたから、日本にはモノ造りからの発想や目線が強く残っています。上から目線という言葉もありますし、プロダクトアウトという言葉もあります。いずれも顧客思考に立っていないことを表現したものですが、顧客思考どころか営業思考にさえ立っていないのです。
「それは営業の仕事だろう。ほかに誰がやるのだ」と言わんばかりに、上から目線でなんでも営業員に押し付ける企業癖があります。
「それは営業員の仕事だろう」と営業員に押し付けられても、営業員は毎月の売上を追いかけるのが一杯で顧客との関係性を深めることさえできないのです。顧客が抱える課題や求めている価値を探して共有するなど若い営業員にはできません。ましてや課題解決のための客観情報を提示する、客観情報を実現する提案をする、提案したことによって新たに生じた課題を共有し解決する、さらに付加価値を提示する、受注をするとDOのアクションを指示してもどれだけの営業員が実行できるでしょうか。
「それが営業員の仕事だろう」と言われてしまったら営業員は立つ瀬もありません。
課題を発見したり客観情報を提示したりするための集中教育も、OJT教育も、マニュアルも、勉強会も、何の指導も訓練も受けていませんし、実現するための営業支援ツールも、持たされていませんし、人事評価基準も昔のまま売上目標達成率で縛られたままです。
会社では上司から、訪問軒数が目標より少ないと叱咤されていて、DOの基準は昔のやり方を変えないまま、関係を深め課題を発見するのが営業の仕事だと言われても営業員はできないのです。
営業のDOは企業の生命線であるはずなのに実に蔑ろ(ないがしろ)にされています。
企業が関心を示しているのはDOの管理であってDOの本質ではありません。行動管理や情報漏えい管理というのも困ったことですが、営業企画部などの担当部門はDOの本質に気付きながらも、手法が分からない、手法が確立されない、手法が仕組み化されないことによるものであることを理解しています。
彼らが言うのは営業プロセスそのものさえ確立されていない状況なのに、真実の営業プロセスを探し出し、仕組み化し、教育体系から人事評価体系まで手をつけなければいけないことは大工事過ぎて(手をつけることが)できないと言うのが本音です。
もっと簡単にできる仕組みがあれば営業のDOをキングオブプロセスに近づけることができます。営業部内だけで決裁ができて、大きな費用が掛からずに、営業員は顧客との対話を行いながら、課題発見や課題解決ができて、結果として受注率拡大、売上が伸びる具体的な営業成果が出て、企業に自覚できれば、堂々と仕組み化に投資ができて教育体系も人事評価体系も改革できます。
営業改革にはトップダウンで大上段に構える方法と、小さく入って大きくしていくボトムアップの方法があります。
私はiPadを使ってDOの本質に添った営業活動を行い、結果として営業改革を実現する手法を獲得しました。
それは繰り返しますが、
・顧客と関係を深める
・顧客が抱える課題、求める価値を発見し顧客と共有する
・課題解決のための客観情報を提示する
・客観情報を実現する提案をする
・提案したことによって新たに生じた課題を共有する
・客観情報を提示して解決する
・さらに付加価値を提示する
・受注をする
・
ここにはDOだけでなくCHECKとACTIONが含まれていることに気付かれたと思います。DOの中にCHECKとACTIONが含まれているからDOが進むのです。
このD→C→Aが回るからDOが進捗するのです。回らないとしたらDOをやってお終いです。DOの本質はここにあります。
日本のSFAが営業員になぜ使われないのかと質問をよく受けることがあります。答えは簡単です。営業のDOにCHECKとACTIONが含まれていないからです。CHECKは自分自身が考えるとするSFAもありますが、本来は顧客の反応を見て即に反応をすることこそが、営業のDOの本質です。
CHECKは自分自身が考えるとするSFAもありますが、本来は顧客の反応を見て即に反応をすることこそが、CHECKの本質でありDOの本質なのです。
この仕組みをiPad上に設計し、顧客と向き合いながら、上記の8項目をクリアして受注を獲得するだけでなく顧客ケアを行う。これだけのことがわずかなコストで実現してしまうのです。
それは営業を改革するだけの力を秘めています。人事評価方法も教育制度方法もそしてSFAもCRMも変えてしまう力です。
※本書はいま執筆中の単行本原稿から、一部を抜粋しMM用に書き換えたものです。
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