【2010.09.24配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
客観営業力についてもう少し続けます。家電量販店は客観営業力を展開しています。
家電量販店に行きますと、商品ごとのコーナーに先週の売れ筋ベスト5が表示されています。どの商品が売れたかを商品展示とともに表示しているのです。顧客はどの商品が売れているのかを確かめてからどの商品にするかを選びます。
当然ですが人気の高い商品から選ばれます。
なかでも家電量販店の大手ヤマダ電機LABIでは、客観営業について徹底的な教育を行っています。販売員は、商品ごとの事業部に分かれて商品ごとの分野で専門教育を受けます。
そして顧客に対する説明は客観営業に徹しています。
例えば顧客がミラーレス一眼カメラを選択しているとします。顧客はA社にするか、B社にするか選択に迷います。すると販売員は、A社は光学機械で医療機器を作っているメーカーの商品ですから撮影をするという点ではずば抜けています。交換レンズも豊富ですしそれと非オート撮影をする場合のセットの仕方が一画面で済んでしまいます。
B社は家電メーカーですから、撮影をする点ではA社に劣ります。交換レンズは目下2種類ですし、それと非オートで撮影する場合、2画面を操作しなければセットできません。但し動画撮影では新機種だけにB社は非常に優れています。動画撮影に関しては、A社はB社に比較すると、機能は劣ります。
家電量販店にはメーカーから出向している販売員が多いのですが、彼らは自社商品の方がよいとは言いませんが、どちらかというと消極的販売です。聴かれれば応え、商品説明に徹していて、商品比較までは行いません。
一方、ヤマダ電機LABI社員の接客は積極的客観営業です。
積極的に商品比較を行い、その対応はメーカー・販売思考ではなく、顧客思考に徹しています。
その結果、勝ちとるものは顧客との「信頼関係」です。
売ろうとしないで客観的な情報を伝えてくれるから顧客はすぐに心を開き、自分が欲しいもの(求める価値)を、販売員に伝えます。すると販売員はいくつかの商品を推薦しますが、ここでも客観情報を伝えます。
お求めになっていることを実現する商品はこの3点です。A社はこのような特徴と、このような欠点を持っています。B社は、そしてC社はと、販売員は顧客の求める価値に照らし合わせて実現できる商品の特徴と、欠点を客観的に伝えます。
もしここでA商品がいいですと一製品だけを奨めたら顧客は他に良いものがあるのではないの、「あなたは、A商品を奨めたいのでしょう」と勘ぐってしまいます。
もしもA商品しか奨めるものがなければ。「お客さまのご要望にお応えできる機種はこのような機能が必要ですが、その機能は目下このメーカーの商品しか搭載していませんと客観情報を添えて展開するのです。
ヤマダ電機LABIは、客観営業を積極的に展開している販売スタイルが目を引きます。
そのうえ、ポイント分をその場で値引きしてくれますから、この点も購入を決めるための背中を押す効果があります。
客観営業は顧客接点をどう設計するかに関るテーマです。この営業力が身に付けば顧客は誰もがこのような対応をしてくれるだろうと思って安心して次回も客観営業を展開している店を選ぶに違いないのです。
客観営業とセットになるのが顧客ケアです。顧客ケアは客観営業と対をなすことでシナジー効果を発揮します。ですから客観営業は顧客接点、顧客接触時の営業設計です。
何度も言い続けていることですが、顧客は売り込まれることに飽き飽きしております。
顧客は正確な情報を入手して買ってよかったと思う購入をしたいのです。
客観営業は購入前に行う顧客接触時の営業設計です。
もしヤマダ電機LABIから、購入したミラーレス一眼レフカメラに関して、担当者からこんなDMがきたらキット感動をするに違いないと思います。
「素晴らしいご購入の選択をなさいました。服部様が決められたカメラは、これこれの特徴を備えていて、きっとお探しになっていましたご要望を叶えることができる唯一のカメラだと確信しています。どうぞ末永く可愛がってあげてください。カメラもきっと服部様の愛情を受け止めてがんばってくれると思います」。
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