【2010.10.08配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
商品を購入しようとする人たちは使用者の商品評価を読んでから商品を選択するようになっていますが、この動きはどうにも止まらないです。
アマゾンはその先駆者です。けれどもアマゾンに呼応するように多くのEコマースが次々と★印による顧客評価を取り入れています。
商品ばかりではなくゴルフ場の評価なども始まっていますが、顧客の評価基準は人さまざまですから企業にとってはとてつもなく厳しい時代になってきたといえます。
リアル店舗もこの消費構造の変化に対応して来ています。競争が激化している家電量販店が毎週売れ筋ベストテンを店内で発表していることも、この表れです。
私は資生堂の事例を思い出します。
拙著で資生堂がビューティコンサルタントのノルマを外し、顧客からの評価を新しい人事評価基準に代えたことを書きました。その時の取材では、「ビューティコンサルタントにとっては目標売上ノルマの方がよほど楽であった」と感想を担当の人が語っていました。
つまり顧客の評価で人事評価が決まり目標売上ノルマの評価をしないことは、いつでも、どこでも一切、気を抜くことができないことを意味します。ノルマを達成すればそれでよしとした時代から、いつでも顧客に対して全力で集中しなければならない時代になったことを意味します。
けれども顧客がすべてを決める時代になることは必然です。
例えばアパレル業界では昔は生地メーカーが流通の主導権を握っていましたが、次第に主導権は小売業に移り、そして顧客に主導権が移るようになりました。そしていまは企業も人も商品も全方位で観察され、顧客の琴線に触れたか、逆鱗に触れたかで、あらゆる角度から企業は評価され公表されるようになりました。
商品を購入する時にまずネットで検索して商品評価を読んでから商品を購入するパターンに変化を遂げました。顧客が商品や営業員を評価する。企業は顧客の評価に基づいて営業員を評価する。新たな見込み顧客は商品使用顧客が下した評価を商品選定の基準とする。
そして実際に商品が買われるのです。
例えば顧客が炊飯器を購入しようとします。顧客は炊飯器をネットで検索し、顧客の評価を読みます。そして評価点の高い商品を購入しようと決めます。価格が高ければ値ごろの商品で評価の高いものにスイッチをします。次に選択した商品をどこから買えば安いかを検索します。
顧客によってはそのサイトを印刷し、リアル店舗に出かけ店員から商品説明を受けて納得したら、次に印刷したサイトを店員に見せてこの価格以下なら買いますと値引きを要求します。
こうした消費構造は一部の人の仕業とは言い切れません。何度か評価を見て納得して購入するパターンを身に付けたら顧客はそうしなければ満足した購入ができない状況になるからです。
私が気になるのは、顧客の評価は顧客のレベルによって基準が異なるだけではなく、商品評価に留まらずサービスの質評価や、店員の対応評価などに及ぶ可能性がある点です。
人間は万能であるはずはなく、欠点もありますし、相性も無視できません。こうした不合理な側面も含めてすべて評価の基準となり★印の数で決まってしまいます。何しろ厳しい時代を迎えたということです。
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