【2011.01.28配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
デジタルツールとアナログツールに関して使い分けをしないといけないと思います一例を上げます。某社が作成した大手住宅メーカーへの提案書です。
「マイページを使った顧客ケア展開提案書」
提案書にはマイページを作成するシステム的な機能だけが書かれていて肝心の顧客ケアに関しては何一つ記述がありません。
確かに新築が頭打ちで、既存顧客の建て替えを図りたい住宅メーカーには顧客をケアする発想が生まれてきていますが、顧客ケアをするためのノウハウはありません。住宅を建てて住んでいる顧客にマイページで顧客ケアをすることはできません。ROIで考えたら誰もやらないでしょう。この提案書が採用されることはありません。
本号で伝えたいことは関係促進メディアをデジタル化することの限界についてです。
私の事務所では、スタッフが某ハウスメーカーの顧客ケアコンサルティングを通じて顧客ケアを展開していますが、紙媒体をたった年間4回、建てた顧客に送付しているだけで私自身が驚愕した棟数を、送付先の顧客から紹介を受けて建築しています。
マイページで年間4回しか更新をしなかったらそのホームページを見る人は誰もいないでしょう。
もう一つ事例を挙げます。
最近はDMを送る際に紙を止めて、ケイタイメールで送信することは普通になっていますが、企業から一方的に送りつけるケイタイメールの開封率はほぼゼロに近い数%です。
開封率ゼロに近いケイタイメールを送っても、伝えたいことは届きません。
私どもで制作している顧客ケア用紙メディアのDM開封率、読んでいただいている率はほぼ100%であろうと顧客先の営業員は自信を持って言います。
顧客は、開封し、読んでいただき、心を動かすことができる。この積み重ねで顧客は身内や親しい友人の新築予定があると、このメーカーが良いと自信を持って進めてくれるのです。
この力は紙メディアの持つ力であること、そして二つは文脈の持つ力であることです。
マイページや、ケイタイメールで顧客の心を動かしていくことは困難なのです。
以上の話は顧客との非接触時におけるコミュニケーションケースであって接触時におけるコミュニケーションケースになれば話は変わります。
スマートフォン、タブレット端末にAR(拡張現実)を搭載してマーケティングに活用するセミナーが始まっています。今は広告方法としての活用ですが、ここに営業プロセスが組み込まれると、このテンプレートは営業が一新する方向に進む可能性を秘めています。
よくも悪しくもです。
ケイタイメールが始まった時代には飲料メーカーのキャンペン応募が1500万通あったとか、その手法についてのセミナーが多く開催されて人が集まっていましたが、いまはそのようなキャンペンでは人は集まりませんし応募数を増やすこともできません。当時、応募者のデータをすべて捨てていたことが今では笑い話になっていますが、実際のところその顧客は景品が欲しいから応募しただけであり、だからうちの顧客リストが1500万人増えたということではないはずです。
ネット企業では会員数がステイタスになっています。私もネットで購入しますが一日に何度も、これでもかと売り込みメールが届きますし、ワイン販売会社からはHTML売り込みメールが一日に4通~5通は当たり前の世界になっています。
配信を停止できるようになっていますが、質問に何を答えたかと質問を明記しないで回答を求めるようになっていて簡単に停止できないように仕組まれています。
送ったほうはそれでおしまいですが読んで貰わなければコミュニケーションにはなりません。
コミュニケーションとは何か、目的は何か、プロセスは何か、メディアは何か、デジタルか、紙か、定義と選定こそが重要です。
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