【2011.04.08配信】
ブレアコンサルティングの服部です。
3000社ほどの企業が加盟している上海市の企業経営者団体の機関誌に、BREA理論を連載して紹介することが決まって、連載第一号の原稿を中国語に翻訳し、上海に送りました。
中国では、顧客戦略の概念がまったくないそうです。そこで上海の経営者達は日本から顧客戦略を学ぼうと言うことになり、私に白羽の矢が当たったというわけです。
連載原稿を下記に掲げましたのでご覧ください。
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すぐにやってくる商品成熟社会に中国の企業はどう対応するか
株式会社ブレアコンサルティング
代表取締役 服部隆幸
中国での高度経済成長期と、1955年から73年まで17年間続いた日本の高度経済成長期と比べると一つだけ大きな違いが見つかる。
日本では経済発展の時間的経過が商品技術革新とリンクし、商品は緩やかに高性能機に変化していった。
例えば家庭用洗濯機は、発売当時の洗濯機は洗濯機能だけで、洗濯物は洗濯機についたローラーを回して手絞り脱水をした。それが洗濯槽に脱水槽がついた二槽式に変わり、いまはボタン一つで乾燥まで自動的に行う全自動洗濯乾燥装置になった。消費者は新製品を購入するたびに、新しい価値を手に入れることができたのである。
一方、中国は世界最先端の商品を技術導入している。消費者は高度経済成長初期から世界最先端の高性能商品を買うことができる。初めから高性能な家電を手に入れ、高性能な自動車を手に入れることができる。経済発展の時間的経過とリンクしないで、いきなり最大限の価値を実現する成熟した商品を手に入れることは、画期的な出来事である。
けれども中国の消費者は次の買い替え時期には今と同じ性能を持つ商品を求めることとなる。
したがって中国では製造業も販売業も驚くほどの速度で成熟商品社会に到達する。成熟商品社会とは、5年前に購入した商品と今、店頭に並んでいる商品性能があまり変わらないと消費者が感じる社会のことである。例えばボタンを一回押すだけで乾燥まで自動的にしてしまう洗濯機は、これ以上の価値を実現することはできない。すると商品はどこで購入しても、どこのメーカーを選んでも同じ価値しか生まれないということになる。
それは上海、北京など始めに高度経済成長の恩恵を受けて発展した都市から順番に起きてくる。マスメディアに広告出しても消費者は振り向かないようになる。今の日本みたいにである。
日本、欧米など先進諸国は商品の成熟社会にどのように対応したか。
答えは「顧客戦略」である。顧客を消費者と呼び、商品を陳列すれば商品が売れてしまう時代には日本でも考えられなかったことだが、今は顧客に目を向けないで企業活動を行うことは困難になるまで変容を遂げているのだ。
顧客戦略の最終目的は、LTV(Life Time Value)実現だ。LTVとは顧客が一生涯に購入する商品を当店で購入してもらうことによって得られる価値のことだ。
日本における代表的な顧客戦略 LTV実現理論がBREALOGIC(BREA理論)である。次回はBREA理論について詳細を語ろう。
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