エスカレーターに乗って立っていたらいきなり肩をたたかれた。たたいた男は「ここは関東じゃないんだ」と言った。そうだ。ここは関西なのに私はエスカレーターの左側に立っていたのだ。よくみるとエスカレーターに乗っているのは、私と男の二人だけであった。それなのに、なぜにどけと男は言ったのか。ちょっとよければそれで済むのに。
なぜ関東はエスカレーターでの待機路線を左にとり、関西は右に取るのか。この謎を帰京する飛行機の中で解こうと考えた。
東京と大阪に出張する人ならみなわかる話だが、事情がわからない人のために写真を撮ろうとしたが、エスカレーターの前でタイミングを狙って顔を写さず写真を撮るのはこんなにむずかしいこととは思わなかった。
飛行機内でいろいろと考えた。原則は人は右側通行であることだ。関西人も関東人もこれを忠実に守っている。ただ考え方が違う。エスカレーターは歩くものじゃないんだ。だからエスカレーターに乗るときは右側をkeepする。もしも歩きたければ左側を歩け。これが関西人である。かたくなで一本気で曲げるのがいやなのである。だから二人しか乗っていないエスカレーターで左側を立っている私を後ろから大阪弁で言えばどづいたわけである。
関東人はエスカレータ内を歩こうと停まろうと自由だと考える。早く行きたければ追い越し車線を空けますからどうぞ右を歩いてください。早く歩きたい人のために優先して人が歩く右側を譲っているのである。
以上が関東左、関西右に対する私の結論である。おそらくたくさんの異論があると思うが。