未曾有の被害を受けた奄美大島が痛々しい。
泰さんを初めとした奄美の知友に電話を掛けているがまったくつながらない。テレビの映し出される城トンネルなどはよく知った場所で、やがて被害の状況が明らかになるだろうが、復旧のめどが立っていないようで、心配をしている。
奄美大島の地形は急峻な山が一気に海に落ちていて、平地は笠利町あたりしかない。龍郷町は笠利町につながっているが国道58号線から離れるとすぐに山になる。
日本復帰50周年記念セレモニーの一環として行った世界奄美人(あまみんちゅう)大会に招かれて基調講演を行ったことがあるが、その時に島民は断食までして祖国復帰運動を行ったことを知った。
しかし沖縄のように平たい土地だけであったらアメリカは奄美群島を返還しなかったであろうと思う。奄美の地形を分かりやすく言うと豆が2つ入ったピーナツの殻から小さいほうの豆を抜いて、そこだけをアイロンでつぶしたような形をしている。その平たい部分に空港があり笠利町がある。山には奄美しか棲まないたくさんの生き物がいてそこには毒蛇ハブもいるために人々はあまり山を開かなかった。
その地形が今回は災いした。山に降った雨はそのまま海辺に張り付くようにしてある集落を襲った。島縦断道路は国道58号線である。それ以外にも道路はあるのだがおそらく土砂で埋もれてしまっているだろう。
今回、一番被害があったと報じられている住用町はマングローブの林があってそれは静かな入江の海につながり、タンカンという亜熱帯の柑橘畑が多いのどかな町である。私は何回かこの海をカヌーを漕いで遊んだものだ。汐が引くとマンゴローブの林はすべて土地が露出するがゴミ一つ落ちていない美しい海底である。
いずれの日には普及し、海は紺碧を取り戻すだろうが人々の心にこの水害は大きな事件として口伝されると思う。早い復旧を願っている。
PS:
この夜泰さんと携帯電話がつながった。泰さんの家は海を見下ろすようなやや小高い丘陵の上にあるので心配はしていなかったが、名瀬に通じるトンネルが通行止めで名瀬には行けないと言っていた。早い復旧を願うしかない。