毎晩午前様が続いている。若い人には午前様なんて何のことか分からないだろう。企業戦士と言われていた時代に帰宅時間が日を越している。つまり12時を超えた真夜中帰宅という意味だ。27歳の女性に若い頃から午前様であったと話をしたら、私ならすぐ離婚をします。価値観が違う人とは住めない、暮らせないからと言われた。
昨日は私の誕生日だということで、事務所の人たちと南インド料理を食べに行った。ここのインド料理はとても美味しい。顧客の半分くらいがインド人なのだから相当なものだ。
時代が変わっているのに変わりきれない企業人がなんと多いことか。私は最近、だれもが知っている大企業の企画部門の人たちと会って話す機会が多い。多くは私が企業に訪問をしているのだが・・・、異口同音でいう。手詰まりで出口が見えないと。
結局変われないのは、量的拡大手法を長年採って成長をしてきた大企業は、質的深耕手法を採用したら売上が落ちてしまう恐怖から脱することができないからなのだ。時代が変わる時に変われない企業が取り残されてしまう。しかもいまは経費を節減して利益を出そうとしているから転換を図る投資ができない。完全に負のスパイラルに落ち込んでいるのだ。企業と言っても結局は人が運営しているのだから、人の心が負のスパイラルから抜け出せないでいるのだ。
私は午前に帰宅すると、入浴し、冴えた脳を休ませるために、時にカロリー半分ウメッシュを飲んでiPadを広げて完全思考ゲームに挑戦する。いまはまっている完全思考ゲームは脱出ゲームだ。いろいろなアイテムを取って障害を取り除き脱出するのだが、脱出を妨げるものが既成概念だ。壁にしか見えないところに通路があったり、既成概念を捨てないと絶対にクリアできないのだ。
執筆でRPG(ロールプレイングゲーム)の設計理論をかなり勉強したのでゲームを作成する人間は脱出する人間よりむずかしくはないことは分かっている。ゲーマーはみな既成概念に引っかかって出口が見つからないのだ。
手詰まりで出口が見えない人たちは過去にやって失敗したことを洗い直すしかない。それしか自分の失敗が手法が違っていたのだと認める方法はない。言い換えればこの時代を切り裂くには、新しい知性が必要ということだ。着想を変えることで新しい世界観が広がることをもっと知らなければいけないのだ。
彼らは全部やってきたと指を折って数える。それでもうまくいかなかったと嘆く。時代が変わる時にどう変われるのか。まさか名高い大企業の事業企画部門の人に創業者のような顔をして叱咤激励も出来ず、なんとか分からせる方法はないかと考えているから、毎晩午前帰宅になってしまう。
午前様とは若い夫人が、宅は昨日も午前様でしたのよ!ホホホ!と使っていた言葉で高度経済成長時代にみなが真夜中まで働いて給料も増え、会社も成長していた時代に、真夜中に帰宅することは会社から認められた一種のエリート感覚であったと思う。
午前様の「様」はよく働く亭主を指した丁寧語、尊敬語の使われ方であったろう。今の若い女性はバカじゃないの!私ならさっさと離婚よ!だ。
私自身が高度経済成長時代のやり方をいまだに踏襲して午前様などといい気になっているのだから、人が変わることはとてもむずかしいことなのだ。と思いながらもどう変わってもらおうかと夜中まで考えている生活を暮らしているのもまた事実なのだ。