私はMAC派だったし、MACでPCを覚えた世代だからMACに愛着があるだけでなく、したがってApple社の創業者Jobs語録はとてもなじみ深かった。そのなじみの要因は彼の人生観は決してキリスト教的ではなく、むしろ禅宗の思想に近いものであったからである。だからJobsが好きだった。
Jobsがアメリカに住む日本人の禅家に禅を学んでいたことを知って、ようやくそのわけが解明できた。彼のカリスマは伝説としてつくられたものではなく、MACやiPadをはじめとした製品が彼の「芸術作品」として評価されたから生まれたものだ。そして彼が語る人生観は
Jobsの本質はアーティストである。芸術家である。芸術家がビジネスをするとこのようになる。絵画の世界ではモンドリアンが絵画をビジネスの世界に持ち込んだ。モンドリアンのデザインは製品のデザインに多大な影響を与えた。SONYの大賀さんも芸術家であった。軽井沢に退職金で大賀ホールを建築し、自ら指揮棒を振った。
Jobsの成功は、右脳と左脳とが融合した結果ともいえる。Jobsは、彼のスタンフォード大学卒業式スピーチでなぜ優れたフォントを用いたMACを生んだかが説明しているが、実はデザインの優れていることも含めてデザインと構造を一体化させたところにJobsの最大の魅力があった。それが左脳と右脳を融合させたという点である。
日本経済は左脳だけが生育した人間を採用し続けている。思いつき、閃き、創造性ではなく、慎重に答えを選んでロジカル?に説明できる記憶力のよい人間が官僚や大企業にたくさんいるから日本経済はクリエイティブではないのだ。
私の作品というべきi-BREAは、iPadができてこそ完成したものであった。そういう点で私はJobsとつながっている。死んだ人は思い出した人の心の中で生き続けることができるのだから、私は時折i-BREAの進展をJobsに報告しながらi-BREAの発展を見守りたいと思う。